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  1. 奈良県議会 2006-02-01
    03月06日-02号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    平成18年  2月 定例会(第278回) 平成十八年        第二百七十八回定例奈良県議会会議録 第二号 二月    平成十八年三月六日(月曜日)午後一時二分開議                            由本知己・北中路子速記   --------------------------------    出席議員(四十五名)  一番 欠員            二番 吉田勝亮  三番 井岡正徳          四番 奥山博康  五番 浅川清仁          六番 上村庄三郎  七番 森山賀文          八番 山村幸穂  九番 田中美智子        一〇番 今井光子 一一番 欠員           一二番 山本進章 一三番 中野雅史         一四番 笹尾保博 一五番 神田加津代        一六番 菅野泰功 一七番 上田 悟         一八番 田中惟允 一九番 藤本昭広         二〇番 畭 真夕美 二一番 上松正知         二二番 欠員 二三番 粒谷友示         二四番 荻田義雄 二五番 中辻寿喜         二六番 安井宏一 二七番 丸野智彦         二八番 辻本黎士 二九番 吉川隆志         三〇番 岩城 明 三一番 田尻 匠         三二番 高柳忠夫 三三番 岩田国夫         三四番 国中憲治 三五番 秋本登志嗣        三六番 小泉米造 三七番 飯田 正         三八番 米田忠則 三九番 松井正剛         四〇番 出口武男 四一番 新谷紘一         四二番 小林 喬 四三番 服部恵竜         四四番 山下 力 四五番 山本保幸         四六番 中村 昭 四七番 梶川虔二         四八番 川口正志   --------------------------------    議事日程一、当局に対する代表質問   -------------------------------- ○議長(秋本登志嗣) これより本日の会議を開きます。   -------------------------------- ○議長(秋本登志嗣) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、三十九番松井正剛議員に発言を許します。--三十九番松井正剛議員。(拍手) ◆三十九番(松井正剛) (登壇)議長より発言のお許しをいただきましたので、自由民主党を代表して質問をさせていただきます。 まず、皇室のご慶事について申し上げます。このたび、秋篠宮紀子妃殿下ご懐妊との発表がありました。誠におめでたいことで、皇室のご繁栄をお喜びしているところであります。 さて、二月二十七日、開会されました今県会は、新年度の奈良県予算案を審議するいわゆる予算県会であります。これからの一年間、県民生活を左右する重要な県の施策について、私たちも真剣に審議し、郷土の発展と生活向上に役立つようにしたいと決意を新たにしているところであります。 我が国は昨年、戦後六十年を数えました。私たち自由民主党も立党五十年という大きな節目の年でありました。日本の将来を見据えながら、今何をすべきか、しっかりと考えていかなければならない大事な時期であります。そんな中で県は、三十年先を見据えて、数値目標も入れた「やまと二十一世紀ビジョン」の実施計画を策定され、県政に積極的に取り組んでおられることに敬意を表します。 しかしながら新年度は、国の行政改革、いわゆる三位一体改革により、国から地方への税源移譲、地方交付税国庫補助等の制度が変わりつつある中で、財政事情の一層厳しい予算編成であったと思います。財源確保が極めて難しい財政環境でありますが、一方、県民の県政への期待は大きく、あれもこれもと県民からの要望は、今まで以上に多様化しているのが実情であります。 私たち自由民主党県連は、そうした県民の要望を五十五項目にまとめ、先般知事に提出いたしました。既にその回答もいただいているところでありますが、厳しい内容のものもあります。本当に限られた財源の中で、柿本知事は予算編成に苦労をし、努力されたと思います。知事は、童話の「ジャックと豆の木」に例えて、創意と工夫で予算化した新規事業などを大きな豆の木に育てたいと言われていますが、着実な行政手腕は柿本知事の定評のあるところであり、私たちも、これからの県政に大いに期待したいという気持ちを最初に申し上げまして、質問に入らせていただきます。 最初に、今議会開会日に上程されました平成十八年度当初予算並びに財政問題につきまして、知事の所見をお伺いいたします。 新年度の一般会計当初予算額は、四千六百十九億三千三百万円ということであり、平成十七年度当初予算に比べて三・六%の減、予算規模としては平成二年度から三年度の水準であります。ここ数年間、国、地方を通じて大きな議論となってきましたいわゆる三位一体の改革につきましては、平成十八年度までに四兆円の国庫補助負担金改革と三兆円規模の税源移譲というかねてからの政府の方針が実行に移されたところでありますが、本県においては差引き十九億円の財源が減少するということであり、地方交付税などが七十一億円も減少したことと相まって、大幅に財源が減少しているところであります。さらに、全国的には、景気回復により税収が伸びているということでありますが、残念ながら、本県では税収増は十八億円の微増にとどまり、減税分の特例措置の減少を差し引くと、実質では七億円の増収にしかならないということであります。このような厳しい財政環境についての知事の所見と、その中でも予算編成に当たって特に意を用いられた点について、まずお伺いをいたしたいと思います。 厳しい財政環境という中でも、特に本県にとって影響が大きいのが、地方交付税の減少であります。新年度の当初予算案では、臨時財政対策債への振りかえ分も含めた地方交付税の総額は千五百七十六億円とされており、三年連続の減、また、この三年間の減少幅は四百四億円にものぼる状況であります。地方交付税が削減される中で、税収が集まる都市部と、本県のような地方との格差が一層開くのではないかとの心配もあるところであります。これは、国から地方へという改革の過渡期ゆえに生じている状況かもしれませんが、本県や県内の市町村が大変厳しい財政環境に置かれているのも事実であります。三位一体の改革については、いわゆる第一期の改革が終わったところでありますが、昨年十一月の政府・与党合意にもあるように、地方分権に向けた改革に終わりはないということで、地方の自主・自立に向けた改革は引き続き行っていく必要があります。地方の創意工夫と責任で政策が決められるようにするために、地方が自由に使える財源をふやすという本来の改革の目的が達成されるよう、県としても取り組んでいく必要があると考えますが、地方税財源の充実についての今後の展望と県の方針について、知事の所見をお尋ねいたしたいと思います。 去る二月二十八日、総理の諮問機関である第二十八次地方制度調査会が、道州制のあり方についての答申を提出いたしました。この答申では、現在の府県制度を見直そうということで、現行の都道府県制度を廃止して、道州制を置くこととし、一級河川管理大気汚染防止対策など二十一の事務を国から道州に移譲することを提言するとともに、道州制の区割りのイメージとして、全国を九、十一、十三に分割する三案を盛り込んでおります。このような区割りの案が出ますと、往々にしてその線引きについての議論に傾きがちでありますが、私は、まず地方分権の確立が必要という観点に立ち、国はもっと事業と財源を地方にゆだねるべきであるということを基本として議論を進めていかなければならないと思っております。つまり、国から地方への事業や財源の移譲を進めることが、本来の地方自治と分権にとって必要なことと考えますが、知事の感想をお伺いしたいと思います。 三位一体の改革、道州制と、我が国の地方自治を取り巻く情勢は大きく動いております。このようなときこそ、地方自治体の二元代表制の一翼を担っている私たち議会の立場からも、声を上げていく必要があると考えます。地方の実情を踏まえた地方分権の推進につながる改革が行われるよう、私たちも、知事をはじめ理事者側と車の両輪のように一緒になって頑張っていきたいと考えておりますので、今申し上げました三点について、知事の明快な答弁を期待いたします。 次に、「やまと二十一世紀ビジョン」についてお伺いいたします。 今回、奈良県新長期ビジョン「やまと二十一世紀ビジョン」と、五年間の実施計画がまとめられました。三十年先の奈良を見つめて、歴史、住まい、共生の奈良の三つの個性、及び、安心、元気、誇り、憩い、未来、地域経営の将来ビジョン、並びに、政策目標である四十七の未来目標を設定されました。県民の共通目標として、県民の暮らし全体に対してわかりやすくさまざまな目標を立てられました点について、評価をいたしたいと思います。加えて、新年度からの五年間に県が主導的に取り組む「やまと二十一世紀ビジョン実施計画(二〇〇六~二〇一〇)」を策定され、ビジョンの実現に向けて積極的に取り組まれることに大いに期待を寄せるものであります。 しかし一方で、先ほどから述べておりますように、現在極めて厳しい財政環境下にあり、行財政改革の推進などによる歳出の努力により何とか予算編成している状況にあります。当然、未来を見据え行政を進めることは必要不可欠でありますが、現在のような激動の時代にあって、厳しい財政状況のもとでは、足元のさまざまな変化に柔軟に対応しながら、その状況に合わせていかに行政を運営していくのかが重要であります。そのためには、将来を見詰めながらも、日々、年々の変化に機敏に対応できる体制やシステムが必要ではないかと考えます。このような中で、今回計画された「やまと二十一世紀ビジョン」やその実施計画をどのように実現していくのか、そのプロセスが大事であり、柿本県政の真価を問われることになろうと思います。 そこで、知事にお尋ねいたします。まず第一点目として、これまで新長期ビジョン「やまと二十一世紀ビジョン」については、県議会の本会議の場でたびたび取り上げられてきているところであり、その意義については理解しているところでありますが、ビジョンとあわせて策定されようとしている実施計画について、どのような点に留意をして策定され、その特徴はどのような点をお考えか。二点目として、厳しい財政状況が続く中、実施計画に示された施策や事業をどのように実現しようとしておられるのか、知事の所見をお伺いしておきたいと思います。 次に、平城遷都一三〇〇年記念事業についてお伺いいたします。 西暦二〇一〇年、平城京に都が遷されて一三〇〇年の記念すべき年が近づいてきました。先般、平城遷都一三〇〇年記念事業実施計画が策定、公表され、多くの新聞報道などにより、県民の大きな期待が盛り上がったのではないかと考えております。この記念事業は、日本が国としての形や基盤が整えられ、国際交流のもとに古来の文化と融合した奈良の歴史文化を二十一世紀の新たな社会づくりに活かそうという壮大なプロジェクトであり、国家的、国民的に意義ある事業として、また本県の将来的な発展につながる大規模なイベントとして推進していかなければならないと考えています。 そこで、この記念事業の成功に向けて、知事に何点かお伺いをいたします。 二〇一〇年に開催される記念イベントは、平城遷都一三〇〇年という、日本の国づくりや歴史文化の中の英知に親しめるまたとない機会であり、また、平城遷都を象徴する平城京跡で実施されることは、大変意義あることと考えます。しかしながら、経済環境は、やや上向きとは言いつつも、依然として厳しい状況であります。このような中で、大規模な記念イベントを開催することや、さらに、世界遺産であり特別史跡である平城京跡を会場とすることに懸念する声が一部にあるということも仄聞をいたしております。これらを踏まえ、知事は、この時期における記念イベントの実施や、平城京跡を会場とする意味や必要性について、どのようなお考えであるのか、まずお伺いをいたします。 二点目は、厳しい経済状況において三百五十億円の事業費の確保、百五億円の民間資金の確保を図っていくことは、並み並みならぬ努力が必要であると考えます。開催地として、県、奈良市の負担も相応に考えておられるとは思いますが、事業費三百五十億円の財源の確保、とりわけ民間資金百五億円の確保についてのお考えをお伺いいたします。 三点目として、この記念事業を、平城京跡のみならず、県内各地を会場として、奈良県全域が盛り上がりを見せる事業にしていただきたいと思っております。そのためには、市町村をはじめ地域が積極的に記念事業に参画していくことが重要であると考えますが、この点についてどのように取り組んでいかれるのかもお伺いをしておきたいと思います。 四点目は、博覧会イベントは一般的に一過性のものであるため、入場者数が目標数値を達成できたか否かが、その博覧会やイベントの成功、不成功の評価の基準となりますが、私は、イベントを開催した成果が、ハードであれ、ソフトであれ、後に残っていることがそのイベントの評価として最も重要な物差しでなければならないと思っております。「なら・シルクロード博覧会」では、その成果として、シルクロードの終着点としての奈良を世界的に浸透させております。平城遷都一三〇〇年記念事業では、大極殿正殿の復原が完成する予定ですが、これも大きな成果ではありますが、二〇一〇年を一過性に終わらせることなく、その成果をどう将来に継承していくのか、知事のお考えをお伺いしておきたいと思います。 次に、京奈和自動車道についてお伺いします。 我が奈良県には、三つの世界遺産と文化財等の観光資源が豊富にあり、これらを活かした観光立県を目指しているところであります。「やまと二十一世紀ビジョン」においても、歴史文化への誇りあふれる奈良にという将来ビジョンも示されております。しかしながら、これらの文化財を活用した観光振興を図り、奈良県の産業の活性化につなげるためには、現在奈良県が抱えている、観光地への移動に時間がかかる、移動時間が読めないなどの課題を改善することが必要不可欠であります。これらの課題を解決するためには、奈良県の背骨となる高規格幹線道路京奈和自動車道の早期整備を全県民が期待していることは、申すまでもないところであります。四月十五日にはまず大和区間が供用され、引き続き五條道路も供用されると聞いております。この開通により、南北の移動はもとより、例えば我が桜井市からは、中和幹線を介して奈良県北部への移動時間が大幅に短縮されることになり、開通を心待ちにいたしております。 知事は就任以来、道路網の整備に積極的に取り組んでこられ、中でも京奈和自動車道の整備にはひとかたならぬ努力をされてきたと思います。その中、今回二つの区間が初めて供用されることをどのように受けとめておられるのか、まずお伺いをいたします。 次に、唯一、ルートが未定であった大和北道路についても、先月十六日にルート・構造案が決定されたことは、大変喜ばしく感激深いものがあります。今後の京奈和自動車道の全線開通に弾みがつくものと大いに期待するところであります。この大和北道路のルートを見ますと、奈良県の政治及び経済活動が集積されている奈良市中心部に直結するルートであり、奈良県の発展にとっても希望が開けるルートであり、加えて、このルートの沿線には平城宮跡など世界遺産や奈良公園など多くの観光資源があり、これらと明日香や吉野の世界遺産など、県南部の観光資源などとを結ぶ、県の観光振興にとって最良のルートであると確信しているものであります。 そこで、今回決定された大和北道路のルートについて、改めて知事の所見をお伺いいたします。 また、ルートが決まった以上、早期完成が望まれますが、今後どのように進めていかれるのか、あわせてお伺いをしておきたいと思います。 次に、雇用対策についてお伺いいたします。 雇用情勢につきましては、一年前の平成十七年一月の有効求人倍率は全国平均が〇・九一倍でありましたが、景気の回復と相まって徐々に改善され、本年一月の有効求人倍率では一・〇三倍と改善されてきています。しかし、これを都道府県別に見てみますと、最も高い愛知県が一・六七倍であるのに対して、沖縄県が〇・四三倍と地域差が顕著となっており、大企業が集中し、自動車などの工業生産や大型建設投資が好調な地域などは着実に回復しておりますが、中小零細企業が多い地域や公共事業に頼っている地域などは回復がおくれているなど、地域的な格差がかなり見られる状況にあります。 本県の有効求人倍率は〇・八四倍で、全国平均の一・〇三倍を大きく下回っておりますが、これは本県の地域性として、大都市に隣接しており、大阪へ通勤・通学する方が多いということも影響があるのではないかと推測されます。このような数値についてどのようにとらえておられるのかを、まず知事にお伺いいたします。 また、その状況を踏まえたとき、今後雇用対策を一層推進していくことが重要であり、特に少子・高齢化という人口構造の変化が急速に進んでいる状況を展望いたしますと、高年齢者と若者にシフトした雇用対策の取り組みが必要ではないかと考えます。今後我が国は、団塊の世代が六十歳を迎え、引退することにより労働力人口が減少するいわゆる二〇〇七年問題に直面することから、地域の状況に応じて適切に対応していくことが求められています。就業意欲の高い高年齢者については、長年培ってこられた経験や能力を活用し、十分に発揮していただくための就業支援が必要であります。また一方では、ニートと呼ばれる無業状態にある若者が増加し、職業人としての見通しを持てず、自立した生活ができないでいることをマスコミなどでよく見聞きしますが、このことは本人だけでなく、社会にとって大きな損失であり、憂慮される状況にあります。今後このような若者への職業観の醸成、職業的自立に向けた取り組みが大変重要ではないでしょうか。これらのことについて、今後県としてどのように取り組まれるのか、知事の所見をお伺いしておきたいと思います。 次に、地震防災対策についてお伺いをいたします。 昨年は一昨年に比べ、全国的には地震や風水害などによる被害は減少しましたが、本県におきましては、二十一世紀前半の発生が懸念されている東南海・南海地震などの海溝型地震や、奈良盆地東縁断層帯などの内陸型地震の発生に備えた地震防災対策を着実に進めていくことが必要であると認識をいたしております。県が平成十六年十月に公表された第二次奈良県地震被害想定調査結果によると、東南海・南海地震が発生した場合には、電力やガスなどの供給障害、道路・鉄道ネットワークの支障による他府県からの孤立化の可能性や、県南部地域などの山間部での土砂災害による孤立化が懸念されています。一方、奈良盆地東縁断層帯中央構造線断層帯による内陸型地震が発生した場合には、建物・人的被害など甚大となることが明らかとなりました。地震被害を軽減するためには、行政による公助だけでなく、個々人の自覚に根差した自助、地域コミュニティー等による共助が必要であり、県、市町村、県民などが取り組むべき事項と目標を共有し、協働していくことが重要であると考えます。 しかし、本県では、自助、共助による地域防災力の中心的な役割を担う自主防災組織の組織率が、平成十七年四月一日現在で二七・一%と、全国平均の六四・五%を大きく下回り全国四十二位となっているなど、全国と比べ、行政をはじめ地域や県民の地震防災対策への取り組みは十分でなく、今後早急に取り組むべき課題となっております。このような状況に対応すべく、県では地震防災対策アクションプログラムの策定を進められており、現在パブリックコメントを実施中でありますが、来年度予算においてはそのアクションプログラムに基づく地震防災対策を積極的に推進されると聞き及んでおります。 そこで、知事にお伺いします。まず一点目として、地震防災アクションプログラムを推進していくに当たっての基本的な考え方についてお伺いいたします。 二点目として、県民防災意識の啓発対策や自主防災組織の組織率の向上対策など、地震防災対策アクションプログラムに基づいて取り組まれる来年度の主な地震防災対策についてお伺いをいたします。 次に、昨年十一月来大きな問題となっております建築物の耐震強度偽装問題についてお伺いいたします。 姉歯元建築士による建築物の構造計算書の偽装事件では、奈良県と奈良市の調査により、県内でも二棟のホテルについて偽装が判明し、二月二十一日現在では偽装物件が全国で九十七にも上っています。また、国が全国的に行っている木村建設などの関連四業者の調査では、最近新たに福岡県や熊本県などで、姉歯元建築士以外の建築士が構造計算した物件でも偽装や強度不足が判明しています。このような多数の建築物で耐震強度に大きな問題があることが判明し、建築物の耐震性に対して不安を持つ県民も多いと考えています。県として県民の不安解消に取り組むべきだと考えます。また、この耐震強度偽装問題では、全国的に見ると、行政をはじめ民間の確認検査機関で多くの偽装の見過ごしがありました。これにより、建築確認・検査制度への信頼が大きく揺らいでいることは極めて重大な問題であります。このような事態を踏まえ、国では建築基準法、建築士法などの建築物の安全性確保のための制度について総点検を行い、再発防止を検討されていると聞いています。 そこで、本県では、耐震強度偽装の再発防止に今後どのように取り組んでいくのか、まず知事にお伺いをいたします。 あわせて、今回、耐震強度偽装で問題となった県内の二つのホテルのうち、奈良市内のホテルは奈良市が対応する問題ですので、県が特定行政庁となっている大和郡山市内のホテルについて、今後の指導方針と見通しについてお伺いをいたします。 また、県民の不安解消のためには、耐震偽装問題を受けて、建築物の耐震対策の一層の充実が必要と思われますが、県の取り組み方針をあわせお伺いをいたします。 次に、県民の健康の確保についてお伺いをいたします。 昨年十二月、政府・与党医療改革協議会から発表された医療制度改革大綱によると、国民の健康確保のためには生活習慣病予防対策が重要となり、中でも糖尿病予防を中心とするメタボリックシンドローム対策が柱になるということであります。また、この大綱には、国民運動の展開として八〇二〇運動の推進が位置づけられ、歯科保健対策の重要性が指摘されているところであります。糖尿病があると歯周病は治りにくく、逆に歯周病があると糖尿病が治りにくくなる可能性を指摘する学者もいるところであります。さらに、医療費適正化の観点からも、他県の調査によると、自分の歯がたくさん残っている高齢者は、残っていない高齢者に比べて医療費が一人月平均九千円程度少ないという報告もあり、財政的にも歯科保健推進は重要であると考えます。 そこで、県民の健康の確保のため、効果的、効率的に生活習慣病対策を行うには、歯周病対策も含めて推進することが必要と考えますが、県としてどのように考えておられるのか、知事の所見をお伺いいたします。 また、県民の健康の確保という面からもう一点お伺いします。 高病原性鳥インフルエンザの発生が昨今ではヨーロッパ各地でも報告されるなど、その拡大が見られる状況であり、そのウイルスが突然変異して新型インフルエンザが発生する危険性もますます高まってきており、県民の健康維持という面からも、県が策定された「新型インフルエンザ対策行動計画」に基づいた対策をとっていただくことを強く要望したいと思います。そこで、新型インフルエンザ対策の一つとして、新年度で予算を計上されています抗インフルエンザウイルス薬、商品名タミフルの備蓄について、その概要についてお伺いをしておきたいと思います。 次に、アスベスト問題につきまして、知事にお尋ねいたします。 このアスベスト問題につきましては、全国的に大きな社会問題となっておりますが、本県においても、かつてアスベスト関連製品を製造していた事業場において、中皮腫や肺がんなどのアスベストが原因と見られる疾患により多数の方が亡くなっていることが明らかとなっています。県においても、アスベスト問題の早急な対応策を講じるための全庁的な推進組織として、アスベスト問題対策会議をいち早く設置され、県民の健康などの相談窓口の開設をはじめ、県立三室病院に専門外来の設置、公共・民間施設の建築物におけるアスベスト等の使用実態を把握するための調査を実施するなど、今日までさまざまな取り組みを積極的に推進してこられました。また、さきの十一月議会においても、我が党を代表してこの問題について知事にお尋ねしたところでありますが、アスベストが身近な生活の中に現存していることから、県民の健康被害に対する不安には今なお根強いものがあると考えます。そこで、アスベスト問題を、健康、建築物、環境の三点から、今後の対応について知事の所見をお尋ねいたします。 まず第一点は、健康対策についてでありますが、国においては、労災補償を受けずに亡くなられた従業員や、労災補償の対象とされていない従業員の家族、工場周辺の住民などの健康被害をすき間なく救済する石綿健康被害救済法が去る二月三日に成立し、この三月中にも救済対象者の申請の受付けが始まるそうであります。本県においても、ニチアス王寺工場、竜田工業の従業員のほかに、その家族や工場周辺の住民の方にもアスベスト疾患で亡くなられた方がおられると聞いております。そこで、これまで実施されてきた健康検診の結果と、今後における県民の健康不安にどのように取り組まれるのか、まずお尋ねいたします。 第二点は、建築物対策についてであります。 アスベストは一九七〇年から一九九〇年にかけて大量に輸入され、その多くは建材として建築物に使用されてきたようでありますが、今後これらの建築物の老朽化によって、解体工事などに伴う健康被害の発生が懸念されております。県においては、民間も含めて県内の既存建築物におけるアスベストの使用実態を調査されておりますが、現時点における調査結果についてお尋ねいたします。 また、その調査結果によって吹き付けアスベストの存在が判明した施設については、損傷、劣化などによる健康被害を未然に防止するため、アスベストの飛散を予防するなどの措置を的確に行っていく必要があると考えます。一方、吹き付けアスベストの存在が今なお不明な施設については、早期に実態把握に努めていただく必要があります。そこで、県内既存建築物に係る吹き付けアスベスト対策について、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の所見をお伺いいたします。 第三点目は、建築物の解体等による環境対策についてお伺いいたします。 先ほど申しましたように、アスベストを使用した建築物の解体作業が増加することが予想される中、アスベスト粉じんの飛散防止対策は、解体作業に従事される労働者はもとより、解体作業の行われる現場の周辺住民の不安を解消する観点からも、強く求められているところであります。アスベスト粉じんの飛散による被害を未然に防止するため、大気汚染防止法等が一部改正され、アスベストに対する規制が一層強化されました。このような法規制に対応して、今後県において、建築物の解体作業などによる周辺での健康被害を拡大させないために、どのような対策を講じられるかについて、あわせてお伺いをいたします。 次に、少子化対策の推進についてお伺いします。 我が国の出生数は、第二次ベビーブームの昭和四十八年の二百九万人をピークに、過去三十年間にわたって低下を続けており、平成十六年の一人の女性が生涯に生む子どもの数とされる合計特殊出生率も二・一四から一・二九と、世界的に見ても極めて低い水準となっています。また、先月厚生労働省が発表した平成十七年の人口動態統計速報によりますと、日本人の出生数は死亡数を約四千人下回り、明治三十二年の統計開始以来初の自然減となったようであります。少子化の進行が予想を上回るスピードで進行し、総人口が減少に転じる人口減少社会の到来が予測より二年も早く、昨年から始まってしまいました。 私はかねてより、急速な少子化の進行は、社会保障負担の増加や労働力の減少による経済活力の低下、子どもの自立や社会性の発達への悪影響、地域社会の活力の低下など、深刻な問題を引き起こすことが懸念され、その対策はまさに喫緊の課題であると申し上げるとともに、機会あるごとに国に対して少子化対策の抜本的対策の実施を強く要望してまいりました。政府もようやく重い腰を上げて対策に乗り出し、初めて少子化・男女共同参画担当の特命大臣を任命するとともに、子ども・子育て応援プランの着実な推進に向けて、平成十八年度政府予算案において、児童手当の大幅拡充、出産育児一時金の引上げ、中小企業子育て支援助成金の創設、ニート対策の充実などが盛り込まれたところであります。一方、県におきましては、全国的に見ても低い合計特殊出生率の改善を目指して、昨年策定されました「新結婚ワクワクこどもすくすくプラン」に基づき、結婚や子育てに夢や希望を持てる社会を実現すべく、さまざまな施策に取り組んでおられます。 そこで、知事にお伺いをいたします。これらの少子化対策事業の今年度の取り組み成果はどうか、また、少子化対策を今後より一層推進していくため、来年度はどのような新たな事業展開を考えておられるのか、あわせてお伺いをいたします。 次に、幼児教育のあり方についてお伺いいたします。 アメリカの哲学者バート・フルガムは、「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」という書物の中で、「人間、どう生きるか、どのようにふるまい、どんな気持ちで日々を送ればいいか、本当に知っていなくてはならないことを、私は全部残らず幼稚園で教わった」と述べています。そして、「何でもみんなで分け合うこと。ずるをしないこと。人をぶたないこと。誰かを傷つけたら、ごめんなさいと言うこと。不思議だなと思う気持ちを大切にすること」などを例に挙げて、「人生の知恵は、大学院という山のてっぺんにあるのではなく、日曜学校の砂場に埋まっていたのである」と書いています。私は、幼児期の子どもたちには、保育園や幼稚園に通っていたり、家庭で過ごす子どももいますが、いずれにしても、この幼児期の育ちこそ生涯にわたる人間形成の土台であり、根っことなるものだと考えるものであります。 そこで、教育長にお伺いいたします。県教委では、幼児期にふさわしい教育のあり方についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。 次に、子どもの安全対策についてお伺いいたします。 昨年十一月で奈良市の小一女児誘拐・殺人事件発生から一年が経過し、県内各地で追悼や防犯の行事が行われました。しかし、広島県や栃木県の事件など、その後も子どもが犯罪の被害に遭う事件が続いています。私は、一層身を引き締めて子どもの安全について取り組まなければならないと感じていますが、県民の皆さんも同じ気持ちであろうと思います。このような事件は、ほとんどが登下校中に発生していることから、登下校中の子どもの安全を確保するために、地域や関係機関の方々の協力を得ながら、保護者や地域のボランティアの皆さんの大変な苦労により対応されていると伺っています。また、多くの学校が集団登下校を行い、警察の協力によるパトロールの強化や教職員による巡回などを実施していると聞いています。国においては、昨年末に政府の犯罪対策閣僚会議が、路線バスをスクールバスに活用することなどを盛り込んだ六項目の緊急対策をまとめました。この中にはほかに、通学路の総点検や全児童を対象とした防犯教室の実施、情報の共有、学校安全ボランティアの充実などが挙げられています。これらの内容を実現し、子どもの安全を確保するためには、保護者はもちろんのこと、学校、警察、地域、行政が一体となって取り組まなければならないと考えます。 そこで、教育長と県警本部長にお伺いをいたします。県教育委員会及び県警察本部では、これまでもさまざまな取り組みを実施されていますが、子どもが被害者となるこのような事件の発生を未然に防ぎ、子どもの安全を確保するために、この六項目の緊急対策も視野に入れ、今後どのような対応を考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。 最後に、奈良県少年補導に関する条例について、警察本部長にお伺いします。 さきの議会において自民党の代表質問で、少年非行が深刻化している現状をとらえて、奈良県少年補導条例を制定されようとされていることについて、その趣旨と必要性についての答弁をお聞きいたしました。その中で、少年を取り巻く環境の浄化や、非行防止と保護を通じた少年健全育成活動に取り組む、あるいは非行の入口に立つ不良行為少年について、早期発見により、非行性が深刻化する前に立ち直り支援が必要であるとのことから、条例制定に向けて検討していくとのことでありました。特に答弁での、少年非行の現状や現在の少年の位置づけ、健全育成に対する取り組み、不良行為少年に対する立ち直り支援などについては、十分に理解をするところであります。また、十二月のパブリックコメントでの県民からの意見をはじめ、関係機関や団体に対しても意見を求められるなどして、その声が集約され、本条例案に組み込まれているものと思います。また当然、本条例の制定に際しては、少年の健全育成を図る上で、教育的な配慮や少年の家庭環境などにも照らして補導は行われるべきものであり、これらの関係機関が緊密な連携をとりながら対策を講じていく必要があるとの考えが、県警察では基本にあるものと推察をいたしております。 ただ、少年補導は従前からも行われており、その活動について、必ずしも明確な法令上の根拠規定が設けられていないこともあり、活動に支障が生じる場面があった。また、少年補導員の方々についても、法令上の位置づけが明確でなかったため、その補導活動において理解と協力が得られにくい面があったことも否めないとの答弁は聞いておりますが、従前の少年補導の根拠をもって活動する場合に、個々具体的にどのような問題が生じていたのか、一般県民にはなかなか理解しがたい面もあると思うところであります。しかも、条例で明文化されることにより、現場においての少年個々の特性を勘案した注意、助言、指導等が行われず、画一的になされるのではないか、警察ばかりに対応が求められ過ぎないかを懸念する声も聞かれるところであります。 そこで、本条例の制定理由や少年補導活動の意義を踏まえて、本条例の概要について、県警本部長のご所見をお聞かせ願いたいと思います。 以上で、私の質問はこれで終わらせていただきます。質問が多岐になりましたが、知事、教育長、警察本部長にはよろしくお願いを申し上げます。皆さんにはご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(秋本登志嗣) 柿本知事。 ◎知事(柿本善也) (登壇)三十九番松井議員のご質問にお答えいたします。 お答えいたします前に、予算編成をはじめ諸般の点についてお励ましをいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。 さて、質問の第一点は、新年度予算と財政問題でございます。 その第一点は、現下の情勢で、予算編成等で意を用いられた点についてというお尋ねでございます。 ご質問にもございましたように、平成十八年度は、地方財政全体では十七年度並みの地方一般財源総額が確保されたわけでございますが、本県では、地方交付税等の削減に見合った県税収入の増は見込めませんで、十七年度に比べ、合計で八十三億円財源が減少となりました。既に平成十六年度で二百五十三億円、十七年度に五十九億円減少しておりまして、三年間を足しますと三百九十五億円もの減少になったわけでございます。他方、歳出面では、社会保障関係経費の大幅増をはじめとして、各分野で相当額の財政需要があり、著しい財源不足を来しております。従来から申し上げているように、引き続き財政特別点検とか、事務事業評価等によりまして、幅広く歳出の合理化を進めるとともに、自主的な給与抑制と職員定数の削減に努めるなど、行財政改革への取り組みを加速してまいりました。なお不足する財源については、退職手当債などの特例的な県債の発行や基金の取り崩しによりまして、収支の均衡を図った次第でございます。結果として、一般会計の予算規模は、平成十八年度の予算は最近のピーク時の十三年度-五年前でございますが、五年前に比べまして約二割、千二百億円近い減となっております。こうした削減に加えまして、県債のやはり新規発行額を抑制するということで、十七年度当初予算に比べて八十六億円削減したと、こういうこともやっているわけでございまして、財政健全化への取り組みを行っている、こういう点もご理解をいただきたいと考える次第でございます。 一方、財政環境が厳しいこういう状況の中で、公共サービスに萎縮することなく対応する、こういうことも大切でございます。むしろこういう時期にこそ、大胆にしかも確実に前進する県政を目指すことが肝要と考えておりまして、未来への飛躍、そういうために数々の論議を重ねながら、ご承知のように「やまと二十一世紀ビジョン」をつくりましたし、これをもとにしてさまざまな政策課題を根本から再整理いたしまして、予算編成に反映する、こういうことに精力を傾注した次第でございます。その一端を例示いたしますと、平城遷都一三〇〇年記念事業に向けた取り組みを本格化させるほか、宿泊観光の推進とか外国人観光客の誘致といった観光戦略の具体化、あるいは「もてなしの心」の推進、防災・防犯対策など安全・安心施策の充実や、少子化やニート問題の深刻な政策課題への取り組み、あるいは京奈和自動車道等を軸とする基盤整備、教育インフラの再整備とか、産業活性化ビジョンの具体化、特産品と、数々の分野について積極的な取り組みをし、多様な新規事業も創出したと考えている次第でございます。今後とも県議会をはじめ県民各位のご理解とご協力をいただきながら、果敢で、しかも着実な取り組みによりまして、これらの施策・事業がやがては確実に芽を吹き結実し、大きな花を咲かせるものと考えている次第でございます。 次に、今後の地方財源の充実についての所見と、こういうことでございます。 三位一体の改革につきましては、ご質問にもお触れいただきましたように、四兆円余りの国庫補助負担金の改革と三兆円の税源移譲という国の方針が実現されることになりましたが、他方で、平成十六年度から十八年度までの三年間で、先ほど申し上げましたように、臨時財政対策債も含めた地方交付税総額は全国で約五兆円も削減されております。このため、本県や県内の市町村のように財政力の弱い団体には大きな影響を生じていることは事実でございます。今後の地方税財源をめぐる論議に関しましては、国におきましては、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランス、いわゆる基礎収支の黒字化という目標に向けまして、ことしの六月には歳出歳入一体改革の選択肢と工程表を取りまとめると、こういうことになっておりますし、地方財政につきましても中期ビジョンが作成される予定でございます。こうした中で、地方交付税をはじめとした地方税財源をめぐる論議は、財政健全化に比重を置いた枠組みのもとで論議が進められる懸念があるわけでございます。さらに、第一期改革の内容を考えますと、地方側の立場としては、この際これまでの結果をよく分析いたしまして、戦略を練り直す必要があるというのが私の意見でございます。 また、国の財政健全化の議論の中には、地方財政にはまだまだ削るところがたくさんあるとか、そうした誤解やゆがめられたイメージに基づく一方的な議論がしばしば見られるところでございます。しかも、実際は、我が国の地方公共団体は法令などの枠組みの中で我が国の行政サービスの大半を担っている、こういう状況にあるわけでございまして、その中身の多くが住民生活に密接に関係しており、急激な削減が困難であるという傾向もございます。こうした地方財政の現実をきちんと見据えて論議をいただく必要がございます。このため、議会のご協力もいただきながら、県内市町村や他府県とも連携して、この種の的確な地方の声を国に届けていかなければならないと考えておるわけでございまして、引き続きご理解とご協力を賜りたいと存じます。 次に、いわゆる道州制のあり方の答申が示されたことに関連して、やはり地方分権や財源の移譲が大切ではないかと、こういう観点からのご質問でございます。 今日の地方分権論議で留意すべきことは、私は、建前とか形式だけの分権ではなくて、質と量の伴った、住民と責任を持って話し合いができる自立性を伴った地方分権をいかに広げていくか、この観点を中心にして議論されるべき段階にあると考えております。国の地方制度調査会をはじめとした、議員お述べのとおり、道州制の区域に関する論議をなされておりますが、こうした問題だけを先行させることなく、また、経済的な効率性のみを重視するのでなく、本当に地方分権が進むような中身の制度設計が、これの方が必要である、こういう旨を私の意見としてこれまでも主張してきているところでございます。 今日、日本の地方団体、特に市町村が果たす役割は大変広がっております。しかし、その実態に応じた権限と財源が十分に付与されていない、これが日本の地方分権の現実でございまして、このことが中心課題にならなければならないと考えております。そういう意味で、実態として地方団体が果たしている役割、これをよく使われる地方分権と区別いたしまして、私はこれを地方分担という言葉で申し上げております。この地方分担の幅は大変広がっており、地方分担の幅をこれ以上広げることに特に精力を注ぐ必要は、私は大きくないと思っております。大切なことは、市町村、府県、さらには道州制の論議におきましても、具体の各分野の施策展開において、どれだけ自主・自立性を現実に発揮し得るか、その意味での地方分権がさらに進展できるかどうか、この点からいろいろな制度設計の基本を決めていくべきものということでございまして、今後もこういう考え方で主張してまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、地方分権を進めるためには、役割分担に見合った事務事業の配分、あるいはそれに見合った地方税財政を確立することが根本的に必要でございます。市町村合併の進展を見きわめつつ、観念論ではない具体的な、しかも量的な判断を加えた検討をしていくことが必要だと思っておりまして、自立的な行政運営を支えるための課税権なり財政調整制度を一体として検討する、そういう姿勢で臨んでいく必要があると考えております。 大きな第二点目は、「やまと二十一世紀ビジョン」についてでございます。 その特徴はどういうことなのかと、こういうことでございます。 既にご承知のこととは思いますが、現在策定中の「やまと二十一世紀ビジョン実施計画」というのは、まず、「やまと二十一世紀ビジョン」は六つのビジョンと十六の政策分野、そしてそれに四十七の「なら未来目標」、こういうもので象徴される三十年後の奈良の将来像を掲げております。実施計画では、この中で二〇一〇年までの最初の五年間における行政運営の指針を設定することになるものでございます。具体的には、ビジョンの施策体系に基づきまして、県が主導的に五年間で取り組むいろんな施策とか事業を掲載しております。具体的には約百のプロジェクトに二百五十のプログラム、そしてそれに八百五十ぐらいの事業を設定しておりまして、それぞれに数値目標を設定してございます。この中には、先ほども申し上げました平城遷都記念事業であるとか、あるいは二〇〇七年問題であるとか、構造改革や公の新しいあり方、こういった、この五年間で当面するであろう中期的な課題も含まれますし、アスベスト対策とか新型インフルエンザ対策、あるいは耐震偽装問題などのような緊急の課題とか、それから従来からの懸案施策、そうしたものがいろいろ含まれておるわけでございます。 実施計画の特徴といたしましては、できるだけわかりやすく、先ほども申し上げましたように、すべてに目標値を設定いたしまして、これは県政に関心を寄せていただくと同時に、進行管理もしやすくと、こういうことでございます。また、積極的な事業展開を図るために、事業活動のやり方によって必ずしも予算が必要でないものとか、施策効果が発揮できる事業等につきましても、この実施計画、本来は予算があるものだけを載せるものでございますが、そうでないものも含めて実施計画に盛り込んでおります。そうした試みのおかげで、新規事業として約二百事業が掲載されている次第でございます。さらに一つの特徴として、実施主体ということも掲げました。県、民間、市町村、国という表記を設定いたしまして、その主たる役割の主体を明らかにして、相互に協働・協力して取り組む、こういう観点を明らかにしたところでございます。 次に、このビジョンにつきまして、こういう財政状況の中でどのように実現していくかと、こういうことでございますが、大変厳しい財政環境でございますが、着実な推進を図るため、総合的な政策マネジメントシステム体制を構築することが不可欠と考えている次第でございます。まず組織を見直しまして、このビジョンに沿って政策推進を全庁的にとり行う中核を明確にするために、企画部に総合政策課を設置するとともに、いわゆる従来行ってまいりました政策評価と事務事業評価を一体的に実施する政策評価室を配置するなど、政策調整部門の明確化を図る予定でございます。また、この政策マネジメントシステムの構築といたしましては、こうした事務事業の進みぐあいを評価した結果が、各種の改善、見直し、あるいは事業の掘り起こしに具体的につながるように、そして施策の選択と集中が行われるよう、こういうことで、従来から申し上げておりますPDCAサイクル、プラン・ドゥー・チェック・アクションと、こういうやり方を、そういうシステムを定着させるように努めてまいりたいと思います。また、もとより、このつくりましたビジョンや実施計画、社会情勢の変化等によりまして見直しの必要なときもございます。そういうときは必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。 大きな三点目は、平城遷都一三〇〇年記念事業についてでございます。 この時期に、イベントあるいは会場を選ぶ意味等についてのお尋ねでございます。 平城遷都一三〇〇年に当たります西暦二〇一〇年は、日本人みずからが日本の歴史や文化を改めて見詰め直し、歴史を未来志向でとらえまして、これからの新しい社会づくりや文化創造への知恵を得る絶好の契機、あるいはそういうものにしたいと考えております。さらには、そのことがひいては世界平和を進展させる動機づけにも寄与したい、こういうような考え方をとっているところでございます。片や、お述べいただきましたように、厳しい財政状況で、喫緊に対応すべき政策課題も山積しているところでございます。こういうことでございますが、そういう状況にあるからこそ、次の世代に新しい発想で価値の高い社会を築くため、元気や勇気を奮い起こして、未来志向の国民的な事業としてこの中身を企画し、充実していく必要があるのではないかと、こういうふうに考えている次第でございます。もとより歴史を考えますと、日本あるいは奈良の都というのは、歴史上主要な時点で世界から注目され、あるいは、あこがれられた時代もあるわけでございます。今後、アジアの新世紀と言われるわけでございますが、この地に各国の人が集い、歴史文化について語り合う国際交流の舞台をつくり出すことは、大変有意義であると考えている次第でございます。 他方、奈良県にとっては当然でございますが、関西としても、この記念事業の実施を通じて世界遺産や文化財の価値の発信でありますとか、多くの方が寄り集まっていただく経済効果、あるいは日本のよさとか魅力を発揮する、そのために標語として「はじまりの地・奈良」と、こういう言い方もしておりますが、そうしたものの発現とか、さらには新しい文化や産業創出、こういうものにつながることを期待しているわけでございまして、特に平城宮跡を会場とすることにつきましては、もともと遺跡博物館構想に基づきまして、朱雀門や東院庭園に続いて、現在第一次大極殿の正殿の復原が進められているところでございまして、こういう場所において一三〇〇年の歴史を振り返って、歴史文化や世界遺産とともに生きる豊かさ・楽しさ・美しさを多くの方に実感していただく、かけがえのないエリアと考えている次第でございます。記念事業の象徴的な会場にふさわしい、こういうふうに考える次第でございます。もとより、この平城宮跡の地下遺構の保護、保存ということは、この事業の大前提でございます。文化庁はじめ専門家の意見をいただきながら、万全を尽くしていきたいと考えております。 次に、事業費の点について、特に民間資金の確保についてのお尋ねでございます。 先ほど申し上げましたような、条約に基づく博覧会ではございませんが、国家的意義の大変高いイベントであると考えておりまして、それにふさわしい規模を想定しております。しかし、従来のいわゆる特定の会場に限定された博覧会というよりも、人や歴史、文化の交流の場や機会を奈良県全域、あるいは関西各地、さらには全国的にも、いろんな事業を広域的に展開することが大切なイベントであると考えております。そうした連携イベントというものが重要でございます。三百五十億円の事業規模ということを想定いたしておりますが、これはそうした要素も踏まえつつ、各種の先例を参考にして目安としてつくったものでございます。その確保については、関係の行政主体についてもいろいろ協議を重ねておるところでございますし、民間資金の百五億円というものもございますが、これにつきましては、経済団体や企業等からの寄附金、協賛金のほか、広報協力とか技術支援等の事業協力、あるいは物品提供等も含めて、想定の中に入っているものでございます。このため、催事とか展示等の各種事業については、経済団体や企業等との協働による事業化も目指しておりまして、今後、事業構想の早い段階からの具体的な説明とか、率直な意見交換を行いつつ、幅広い協賛、協力、支援を求めてまいりたいと考えております。経済環境は依然厳しいわけでございますが、この魅力ある事業の構築ということの中身を詰める中で、協賛、協力の確保を図ってまいりたいと考えております。 次に、市町村にもいろいろ参画していただく必要があるのではないかということでございまして、この点はおっしゃるとおりでございます。先ほども申し上げましたが、県内の市町村のみならず、関西、さらには全国の歴史的つながりのある各地との連携事業の展開が必要であります。しかし、まずは、ご質問のとおり、県内各地とのつながりが大切でございまして、県内各地には、いろいろ個性ある歴史文化を基盤に、さまざまな文化活動が行われています。こういうものの広がり、あるいは主体の多様性を生かして、平城京・広域ネットワーク事業という名称を使っていますが、そうしたいろんな各種の連携事業を、いろんな主体の協力を得て立ち上げていきたいと、こういうふうに考えております。このため、新年度からは、協会事務局に連携事業の専門の部署も設置したり、あるいは、イベントのプロデューサー等の専門の人材によるセンターも設置したいと考えております。また、市町村はじめ地域の企画や実施を促進するため、地域別懇談会というものも設置してまいりたいと思います。こういう場を通じまして、いろんなイベントの創出支援、あるいはネットワーク化を図ってまいりたいと思っております。そのほか、県内各地に足を伸ばしていただくような周遊システムとか、ツアーでありますとか、イベントでありますとか、それを助けるIT技術を活用したシステムでありますとか、こういうものも検討している次第でございますが、いずれにいたしましても、市町村はじめ多くの主体に新たな事業展開を図っていただける契機としていただくように、そうした中身の説明、あるいはPR等について万全を期してまいりたいと考えております。 その次に、記念事業を一過性に終わらせることなく、その成果を将来に継承していくべきではないかというお尋ねでございます。 お尋ねのとおりでございまして、記念事業は、やはり意義深いイベントを展開して、その成果を二十一世紀の奈良県づくりのハード・ソフトに発展、継承される、こういうことが望ましいわけでございまして、そう進むように構想を進めてまいりたいと思います。 まず、記念事業を一過性に終わらせないという点におきましては、実施基本計画に掲げられたイベントや展示等について、既に二〇一〇年以降も定期的また恒例として持続されることをひそかにもくろみつつ、構想を進めているものも既に含まれております。さらに、そうした記念事業に準備されたものとか活動が、やはり記念事業後も持続的、発展的に奈良県の魅力を増幅していく、こういうことも期待したいと思います。実施基本計画に、「奈良クラシクス」とかこういうものも出ておりますし、あるいは、いろんな記念事業の運営上編み出される交通誘導システムとか情報提供システム、その他の利便施設もございます。こういうものは、その後の奈良県の文化・観光戦略の推進に発展的な役割を果たすことになるだろうと思います。さらには、記念事業後に展開する長期戦略プロジェクトとする事業も幾つか予定しておりまして、記念事業にも出てまいります世界遺産プロジェクトとか、奈良ユビキタスプロジェクトは、奈良県が国際交流の舞台として重要な役割を果たしたり、あるいは来訪者の利便性を高める方向で、記念事業後にも大きな活動に展開することが期待されます。また、新平城京プロジェクトという構想がございます。これは朱雀大路にいろいろな歴史文化施設を沿道に点在させた公園的な街路、パークアベニューとして復元しようとするものでございまして、これはまず二〇一〇年までに国の協力をいただきながら構想を詰めてまいりまして、記念事業の成功を背景にして、その後三十年ないし五十年の長期戦略で実現する運びにしたいと、現在のところ考えているものでございます。このように、幅広い参画や協力をいただきながら、同時に長期プロジェクトの実現を図りまして、二十一世紀において世界に誇れる奈良県の新しい資産をつくって、次の世代に引き継ぐ、こういうふうな努力をしてまいりたいと考えております。 次に、京奈和自動車道についてでございます。 立ちおくれていた県内の道路整備を抜本的に促進するために、「なら・半日交通圏道路網構想」を策定して取り組んできたところでございますが、その中心となる京奈和自動車道は、ご承知のように、関西大環状道路を形成し近畿圏の各都市の連携強化を図る高規格幹線道路でございます。また、県の南北の基軸となるわけでございまして、県といたしましても、地元説明とか用地買収等に積極的に協力を行うとともに、早期整備について強く働きかけてきたところでございます。ご質問にございましたように、今回、大和区間が西名阪自動車道から中和幹線までの十・一キロメートルが一般部を含めて四車線で、また、五條道路が和歌山県境から五條市居傳町までの七・九キロメートルが暫定二車線で供用されることになりました。おおむね四月から五月にかけて供用開始の様子と聞いております。これによりまして、供用区間の周辺道路において渋滞が緩和され、県内の移動時間の短縮、あるいは定時性の確保が図られることになります。これによりまして、奈良県の経済活動、あるいは社会活動、観光振興に大きく貢献することになると期待しているところでございます。いわゆる幹線ネットワークの骨格の一部が実用に供されるということは、大変画期的なことだと喜んでいる次第でございます。今後ともそうしたネットワークの形成に向けまして、引き続き一日も早い全線開通に向けて努力してまいりたいと考えております。 大和北道路のルートについてのご質問でございます。 大和北道路は、奈良市及びその周辺地域の主要道路で慢性化している渋滞を解消し、生活道路の交通安全問題を解決するとともに、関西圏の活性化を図るために重要な道路でございます。もとよりこの地域には平城宮跡をはじめ貴重な文化財が存在し、その保全に配慮することは大切なことでございます。そのため国では、地下水検討委員会、文化財検討委員会、大和北道路有識者委員会等を設置いたしまして、その整備効果、地下水位の変動、文化財あるいは環境への影響など、さまざまな検討が行われてまいりました。今般、国はそれらの検討結果を踏まえまして、交通渋滞の解消や交通安全問題を解決でき、かつ文化財や環境の保全が可能なルートとして決定されたものと考えている次第でございます。このルートは、奈良市中心部と県内各都市及び県外とのアクセス性を向上させ、県の経済・社会活動の活性化及び広域的な観光振興に寄与するものと考えております。 今後、所要の手続を遺漏なく進め、早期事業化に最善の努力を続けてまいりたいと考えておりますが、今後の進め方についてのお尋ねでございます。 大和北道路につきましては、この三月中に国土交通省から県に、大和北道路に係る都市計画原案及び環境影響評価準備書の事業者案が提示されると聞いているところでございます。それらが提示された後、県は、まず地元住民に都市計画原案の説明会、公聴会を行いまして、あわせて環境影響評価準備書の案について、都市計画審議会環境影響評価検討専門部会で有識者の方々にご審議をいただくことになります。その後、都市計画の案と環境影響評価準備書の縦覧、さらに環境審議会の環境影響評価審査部会での準備書の審議などの手続を行いまして、最終的に都市計画審議会の議を経て都市計画決定される、こういうことになります。県といたしましては、これらの手続を慎重かつ着実に進めてまいりたいと考えておる次第でございます。都市計画決定後は、早期に事業化されるよう国土交通省に働きかけてまいりたいと考えております。 次に、雇用対策についてのお尋ねでございます。 特に、本県の有効求人倍率がなぜ全国平均を下回っているのかと、こういう数値についての質問でございます。 お尋ねにありましたように、有効求人倍率、この十八年一月、全国一・〇倍に対して本県は〇・八四倍と、こういうことになります。その理由でございますが、いろいろな理由はあると思いますが、ご質問にも触れられましたように、本県の県外就業率が、全国平均は八・一%ですが、本県は三〇・九%と全国で一番高い県でございます。これも確かに影響していると思います。そのほか、いわゆる雇用保険の受給資格決定者を抽出して昨年の一月から三月までをお調べになった結果がございます。その結果によりますと、離職者として登録されている二千百七人のうち、その六五%に当たる千三百六十九人が実は県外で働いていた方々であると、こういうことになります。こういう方々が当然自分の住所地で求職者として登録され、さらには県外の求人に応じてまた就業される方も多い、こういう地域性もある、これが要因の一つであって、必ずしも数字どおりの低さではないということが言われますし、全国平均よりも低くはないぞというその筋の見解も聞いている次第でございます。しかし、そういうことはおきまして、やはり本県の雇用情勢の一層の改善を図る必要がございますので、県といたしましては、県内二カ所に設けた「しごとセンター」を中心として、奈良労働局と連携して雇用対策を着実に進めてまいりたいと考えております。 次に、雇用対策、特に高齢者対策とかニート対策についてのお尋ねでございます。 高年齢者への就業支援につきましては、少子・高齢化が進行する中、労働力人口の確保という点もありますが、やはり高年齢者の持つ意欲と能力を生かしていくということが大切だと考えております。この点から、団塊の世代の人たちが長年培ってこられた経験とか知識、技術を活用していくために、シニア世代経験活用・就業支援データベースというものを運営しておりまして、団塊の世代を中心とした就業支援と企業への人材情報の提供を実施し、就業支援に努めてまいりたいと考えております。 また、若者の就業支援についてでございますが、職業観の醸成、あるいは職業的自立に向けた取り組みとしては、ジョブカフェ(ヤングコーナー)を中心に、働く意欲がありながら職を得られない若者への就職支援を中心に取り組んできたところでございますが、新年度では、若年無業者、いわゆるニートと呼ばれる若者に対して、青少年社会的自立支援関係施策を新たに創設いたしまして、また、そうした方々の就業実態調査の実施とか、あるいは高校生向けに自立支援ガイドブックの作成、あるいはニート状態に陥った若者たちへの支援事業など、多様なメニューを用意しているところでございます。どれが決め手になるかということは現在のところわかりませんが、そうした社会的自立を促進する方向で、県教委、その他関係機関とも連携しながら総合的な推進を図るように努力してまいりたいと考えております。 次に六点目、地震防災対策でございます。 まず、アクションプログラムの基本的な考え方ということでございますが、これは、いわゆる地震対策の地域防災計画を実効あるものにするための計画として策定されているものでございまして、今後三十年後を見据えながら、当面する十カ年で県が重点的に取り組む地震防災対策の個別項目ごとの実施計画をつくっているものでございます。このアクションプログラムの推進に当たりまして、まず減災目標というものを設定しております。例えば二〇〇四年に地震の想定人的被害というものが出されておりますが、これを今後十年間でこの想定値より半減したいというようなことを主たる目標としております。さらに、この減災目標を達成するために、五年後の目標を設定しておりまして、それには、例えば耐震化率を六〇%から七〇%に上げるとか、自主防災組織の組織率を二七%から六四・五%に上げたい等々の二十八の具体的目標を定めて推進していくつもりでございます。そのためにかなりの数の、三百程度のアクション項目で構成しておりまして、しかもそれは一度にできるわけがございませんので、短期、中期、長期と、二年ぐらいで終わるもの、五年ぐらいで終わるもの、十年以上かかるもの、こういうふうな、終了すべき実施期間も明確にして対応していきたいと考えておりますし、この目標の進行管理をするために、そうした専門家とか庁内委員によるアクションプログラム推進委員会というものを設置してその進行管理を進めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。 次に、自主防災組織向上のための新年度の対策についてのお尋ねでございます。 新年度の主な対策でございますが、まず県民の防災意識の向上を図りますために、防災カレッジとか防災講演会の開催、これは啓発事業でございますが、そのほか、防災リーダーの養成というものを実施したいと考えております。また、子どもたちのそうした自立心を育成するために、奈良県学校地震防災教育推進プランをつくりまして、この実施に当たってまいります。また、自主防災組織の組織率向上のために、自治会長さんの啓発とか、「県政だより」で自主防災組織特集号を掲載する、こういうことも考えております。それから、別途ライフライン関係として、飲料水、食料等の確保対策がございますが、緊急物資の備蓄をさらに充実するとともに、県営水道の耐震診断、耐震化工事を進め、あるいは、応急的な対策として県営水道の送水管の主なところに、応急の給水栓を使って給水車による給水を容易にしようというようなこと、あるいは、そうした問題の連携を強めるためのライフライン連絡会を開催する、こういうことも考えております。そのほか、今後の構想でございますが、災害時の体制を確立するために、大地震の際の災害対策として、県庁が被害に遭っている可能性もございますので、県営の競輪場においてそうした機能を確保するための整備に着手する、こういうことも考えております。そのほか、県立高校などの耐震診断、補強工事、防災施設の整備への支援とか、あるいは、市町村の防災対策を支援するためのガイドラインとか、そういうものを策定するとか、幅広く、先ほど申し上げましたアクションプログラムの具体化に努めているところでございます。 次に、耐震偽装の再発防止についての取り組みでございます。 耐震偽装問題は大変大きな社会問題として、県民の不安解消のため、重要な課題だと考えております。これは全国的な問題でございまして、国では昨年十二月から、全国的に建築確認事務の実施状況とか構造計算書の審査体制等について緊急点検を行っておりまして、この一環として、県でも同様に、県指定の確認検査機関に対する立入検査や、三市の特定行政庁の業務点検を行うとともに、県みずからも国の業務点検を受けたと、こういう格好になっておりますが、特段の問題はなかったということでございます。なお、耐震強度の偽装の再発防止を図る観点からは、県でも構造計算プログラムを導入いたしまして、今後の建築確認審査におきましては、抽出ではございますが、再計算できる体制整備を進めております。また、国におきましては、そうした諸般の確認検査制度の見直しが進められておりまして、こうした制度の見直しの動きをもよく注視しながら、必要な対応を図ってまいりたいと考えております。 次に、耐震偽装の関連で、大和郡山市のホテルについての指導方針というお尋ねでございます。 このホテルからは、二月二十八日に所有者から県に改修計画案が出されております。この改修計画案につきまして、国の指示で、ある団体に設置されている違反是正計画支援委員会というものがございます。その専門機関でございますが、その意見を、現在助言を要請しているところでございます。今後はこの委員会の助言を踏まえて、早期に計画の妥当性を判断するとともに、その後、改修工事の着工を指導し、工事の途中あるいは竣工後には検査を行うなど適切に対応してまいりたいと考えております。 次に、その他の建築物の耐震対策の充実についての取り組みでございます。 建物の耐震対策につきましては、何といいましてもまず所有者の方が認識を深め、対策を講じることが基本でございます。このため県では、これまでも県民向けの講習会とかによりまして基礎知識の普及を図っておりますし、十七年度からは既存の木造住宅の耐震診断に対する費用の一部を補助して、と同時に耐震化の意識啓発に取り組んでおります。新年度ではさらにこうしたことに引き続きまして、新たにマンションを含むすべての住宅及び多数の人が利用する建築物の耐震診断に要する費用の一部を補助し、耐震化の啓発に努めてまいりたいと考えております。また、本年一月施行の耐震改修促進法の改正がございました。この促進計画の策定に取り組むとともに、市町村及び民間の建築物所有者団体で構成する協議会をつくりまして、専門家による講習会や相談会の開催などにより、こうした所有者の耐震に対する意識を高めて、耐震化の促進を図ってまいりたいと考えております。 次は、県民の健康の確保に関するお尋ねでございます。 まず、歯周病対策に関連した生活習慣病対策についてのお尋ねでございます。 県といたしましては、健康寿命の延長ということで、平成十三年度に健康なら21計画、平成十五年度には、なら健康増進戦略会議の設置、こういう形で生活習慣病対策を主要な課題として食生活や運動、そうした啓発事業を推進しているところでございます。お尋ねの歯周病でございますが、これ自体が生活習慣病の一つと考えてございまして、特に自分の歯を失いますと、食べるとか会話するなどの楽しい生活を阻害すると考え、この対策は大変大切だと思っております。現在歯周病対策としては、二十九の市町村で歯周疾患検診を実施しております。県では、歯科医師会の協力を得まして各保健所で歯科保健推進検討会を開催いたしまして、市町村の歯科保健施策を支援しているところでございます。また、いわゆる八〇二〇運動を推進するために、出前説明会などを歯科医師会に委託して実施しております。今後とも、なら健康増進戦略会議等において、県民の健康確保のため、各種の生活習慣病予防対策を進めてまいりたいと思いますが、その中に歯周病対策も中心に据えて推進してまいりたいと考えております。 次に、抗インフルエンザウイルス薬のタミフルの備蓄についてでございます。 国の行動計画におきましては、国、都道府県等、全体として二千五百万人分の備蓄を行うこととされております。県といたしましては、既に質問でお触れいただきましたように、昨年十二月にこうした問題に対する対策本部を開きまして、対策のための行動計画を策定いたしました。その計画に基づきまして、国から県に要請されている量は十一万八千人分でございます。これを平成十八年度と十九年度の二カ年において備蓄してまいりたい、こういうふうに考えております。そうした予算を案としてお願いしているところでございます。 次に、アスベスト対策でございます。 これについての検診結果と、今後の取り組みについてのご質問でございます。 アスベスト対策は大変重大な課題でございます。全庁的かつ敏速に取り組んできたところでございますが、検診結果については、まず、県立三室病院に昨年十月呼吸器専門外来を開設して対応したところについては、これはアスベスト関連事業に従事されていた方など九十八名の方が受診されておりまして、五名の方に石綿肺が確認されましたが、これはいずれも他でそういう診断を受けて、セカンドオピニオンを求めて来られた方だったということでございます。また、ニチアス王寺工場、竜田工業が実施している健康診断については、既に八百九十三人が受診されて、三十四人に石綿所見の疑いが指摘されたとの報告を受けております。今後とも定期的な健康管理が必要でございます。通常では市町村で四十歳以上の住民を対象に肺がん検診や基本検診が行われておりまして、この中で実施されておりますが、加えて、そうした体制を確立するために、新年度は県の二カ所の保健所におきまして、この市町村検診の対象にならない四十歳未満の方を対象にしたアスベスト検診も実施したいと考えております。当然、引き続き県民にアスベストに関する必要な情報の提供、あるいは検診従事者の研修会、こういうものを開催することなどによりまして、県民の健康不安の解消につなげてまいりたいと考えております。 次に、県内の建築物に係るアスベスト対策についての取り組みについてのお尋ねでございます。 県内の既存建築物における吹き付けアスベストの使用実態につきましては、公共、民間を含めますと約一万余の施設について調査を実施してまいりました。その現在までの調査結果では、アスベスト含有の可能性ある吹き付け材が設計図面あるいは目視で確認された施設が、県有施設で四十七、市町村で二百二十三ございます。民間施設はすべての結果が出ておりませんが、二百八十四施設で確認され、合計しますと五百五十四、約五%と、こういうことになっております。県有施設につきましては、この中で早期にアスベストの除去が必要と判断した婦人会館等の六施設につきましては、ほぼ除去を終える状況でございます。また、その後確認された七施設については、国の補正予算で用意された補助制度を活用することとして、これにつきましては別途補正予算で対応したいと考えております。また、市町村施設及び学校、病院等の主要な民間施設につきましても、同様に国の補助制度を活用するように促し、現在各市町村においても取り組みが始まっているところでございます。また、民間施設につきましても、多数の方が利用されるものにつきましては、国の補助制度を活用して分析調査を行う所有者に対して、市町村と連携して県もその一部を補助することとしております。いずれにいたしましても、できる限り早期に対策を講じられるよう働きかけてまいりたいと考えております。 次に、アスベストに関連して、健康被害を拡大させないために、特に解体作業等の際の健康被害を拡大させないために、どういう策を講じるかというお尋ねでございます。 大気汚染防止法がございますが、この法律が今回、工事中における飛散防止措置を拡充強化するため、届出の対象となる建築物の規模要件の撤廃-要するにすべてということですが-を盛り込んだ政省令の改正が行われまして、三月一日から施行されております。こうした動きを受けて、解体作業現場での適正な作業を確保するため、先月、県内の建設業者や建築設計事務所の関係団体等に対しその旨を通知し、周知徹底を図ったところでございます。また、県では、解体等の作業現場の隔離等の作業基準の遵守状況を確認するため、引き続き解体作業場への立入調査を実施するとともに、その規模や状況等を勘案して、必要に応じてはアスベストの飛散濃度調査を実施するなど、アスベストの飛散防止や予防措置が適正に講じられるよう指導してまいりたいと思います。また、アスベスト廃棄物の発生する建築物解体現場等の重点的な監視を実施いたしまして、その適正処理の徹底に向け、より一層の指導強化を図ってまいりたいと考えております。 次は、少子化対策についてのお尋ねでございます。本県の対策事業の今年度の取り組みの成果と、それから新年度の新たな事業展開でございます。 ストップ少子化にはいろいろな切り口から幅広い取り組みが必要でございます。特に県といたしましては、地域でできるようなことでできる限り社会に役立ちたいと、こういうことでいろいろな試みをしてまいりました。結婚や子育てを社会全体で応援するため「結婚ワクワクこどもすくすく県民会議」を設置しておりますが、そのもとに設置した「なら結婚応援団」、あるいは「なら子育て応援団」による県民運動を展開しているところでございます。成果として申し上げますと、「なら結婚応援団」につきましては、二月末現在で団員は、ホテル、旅行会社、レストラン等三十二団体が加入、メルマガの登録者も四千二百人程度、また、七月から始めました出会いイベントも百二十回を数えまして、延べ三千六百人余りの方が参加しております。効果としては、多くの出会いの場が提供できたことと同時に、そのうちの約二割の方がその場でカップルとなって交際をスタートしておられるようでございまして、それなりの効果があったのではないかと認識しております。また、「なら子育て応援団」につきましては、多子、子どもの多い世帯に対する料金割引など経済的支援を行う「多子世帯応援団」など、これは商店街でございますが、四つの種類がございまして、百十四の団員が登録しておりまして、さまざまな子育ての支援の取り組みをいただいているところでございます。 新年度でございますが、この「なら子育て応援団」への参画を推進するために、商店街が行う「子育て応援強化月間」の取り組みをモデル的に実施支援したいと考えておりますし、また、結婚にまつわる幸せなエピソードなどを「Happy Wedding 百選」、これは「プロポーズの言葉百選」から三段目でございますが、これを全国募集したいと考えております。さらに、子育ての情報の提供とか交換、あるいは子育ての不安を相互に軽減を図るため、「なら子育てブログタウン」、これはインターネット上ですが、これを開設する予定でございます。こういういろんな切り口の事業展開を通じまして、結婚や子育てに夢や希望が持てる奈良県づくりに今後とも全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(秋本登志嗣) 矢和多教育長。 ◎教育長(矢和多忠一) (登壇)三十九番松井議員のご質問にお答えをいたします。 私には二点についてお尋ねをいただいております。 一点目は、幼児教育のあり方についてのお尋ねでございます。 乳幼児期の子どもたちは、自分の周囲にいる大人の言動をまねることにより、自己を形成していきます。また、幼児期は遊びや体験を通して基本的な生活習慣や人とのかかわり方、社会性や思いやりの心など、生涯にわたる人間としての基盤を培う時期であり、その後の成長にも大きく影響する大変重要な時期でございます。そして、この時期の圧倒的多数の子どもたちは、多くの時間を保育所や幼稚園で過ごしているのが現状でございまして、幼児教育は極めて重要であると認識をいたしております。そこで、県の教育委員会では、県立教育研究所に幼児教育部を新しく設置し、幼児期の子どもの発達段階に応じた保育・教育のあり方を検討し、幼児教育を体系的、計画的に推進することといたしました。学識経験者や幼児、児童の教育関係者、保護者等から成る奈良県幼児教育懇談会を設置いたしまして、幼児教育の充実に向けての提言をいただきながら、幼児期の健全な育成のための具体的な施策のもととなります奈良県幼児教育推進指針を策定したいと考えております。さらに、今後事業を展開するに当たりましては、本県の幼児教育の現状や子どもたちの育ちについて調査研究が必要であると考えておりまして、幼児教育懇談会の中に専門委員会として幼児教育研究委員会を設けまして、調査研究をしたいと考えております。懇談会でいただいた提言及び指針をもとに、関係部局や関係機関の方々と協力をして、幼児教育の体系化を図るとともに、今後具体的な事業を策定しながら、ますます重要となります幼児教育に積極的に取り組んでいきたいと考えております。 二点目は、子どもの安全対策について、特に国がまとめました緊急対策六項目について、どのような対応を考えているのか、お尋ねをいただいております。 一昨年の奈良市の小学校一年生の児童の誘拐殺人事件の後も、全国で子どもたちが犠牲になる事件が続いており、子どもたちの安全確保に関する取り組みの重要性を痛感いたしております。国がまとめた緊急対策六項目への対応状況でございますが、通学路の安全点検につきましては、すべての小学校で安全マップを作成するなど適切な対応が進められております。防犯教室の実施につきましては、教室の講師を警察等にお願いしたところが延べ、幼稚園も含めまして六百七校ございまして、充実した内容となっております。また、県教委と県警本部のホームページにそれぞれ不審者情報を掲載して、情報の共有と活用を図っております。次に、学校安全ボランティアの充実についてでございますが、警察や教員のOBに協力を求め、八市町村に対してスクールガードリーダーを配置して、地域のボランティアの皆さんと協力しながら子どもたちの見守り活動や学校周辺の巡回などを行う組織を編成しており、新年度も対象地域を拡大いたしまして、より充実したものにしていきたいと考えております。なお、路線バスを活用した通学路の安全確保につきましては、新たな課題であることから、市町村に対しまして調査を実施し、国の動向も注視しながら、今後の対応を検討していきたいと思っております。今後とも、学校、家庭、地域、警察、行政が一体となって安全管理、安全指導に取り組むとともに、学校における安全教育の充実がなお一層推進されるように指導してまいります。 以上でございます。 ○議長(秋本登志嗣) 菱川警察本部長。 ◎警察本部長(菱川雄治) (登壇)三十九番松井議員のご質問にお答えいたします。 私には、子どもの安全対策と奈良県少年補導に関する条例案の二点についてお尋ねでございます。 まず、子どもの安全対策についてであります。 安心して子育てができる奈良県を実現することは、私たち県民すべての願いであります。一昨年、不幸にして女子児童誘拐殺人事件が当県で発生いたしましたが、この事件を契機といたしまして、地域の子どもは地域で守るという意識が高まり、子ども見守り活動を強化するための自主防犯団体や青色防犯パトロールの拡充、不審者情報を警察や関係機関が共有するネットワークの構築、県警ホームページによる不審者情報の提供など、地域社会と警察が連携したさまざまな取り組みが行われました。さらに、このような対策を風化させないため、昨年、全国初となる「子どもを犯罪の被害から守る条例」を制定していただき、学校や家庭だけではなく県民すべてが子どもの安全を守るという責務を担っていることが明らかにされたところであります。このように、県警察では一昨年の事件を教訓として、犯罪対策閣僚会議の緊急対策に盛り込まれた施策のうち、警察が講ずべき施策につきましては既に実施しているところでありまして、いわば子どもの安全対策の先進県であると自負しているところでございます。しかし、子どもの健やかな成長を図るため最善の努力をすることは、大人社会全体の責任でもありますし、他県で子どもをねらった犯罪が多発する中、いま一度「子どもを犯罪の被害から守る条例」や緊急対策の趣旨を十分に認識し、現在推進している対策を継続強化していきたいと考えております。 特に本年は、子ども自身の危機回避能力の向上に重点を置いた参加体験型の地域安全研修会を実施し、子どもの目線に立った地域安全マップや指導マニュアルを作成するほか、本年五月末までに県下全小学校の新入学児童を対象とした被害防止教室を開催する予定であります。また、緊急対策で示された項目のうち、他機関が実施主体となっている対策につきましても、積極的に協力・支援をしてまいりたいと考えているところであります。 ご質問の二点目の、奈良県少年補導に関する条例についてであります。 県警察では、いまだなお高原状態で推移する少年非行情勢に的確に対処し、少年の健全な育成を図るため、少年犯罪や少年の福祉を害する犯罪に対しては、迅速的確な捜査を行い、厳正に対処する一方、喫煙や飲酒などの非行の入口となるような不良行為を行っている少年に対しては、少年警察ボランティアや学校、保護者等とも緊密な連絡を図りながら、街頭補導活動等を実施し、少年非行の防止と保護に努めております。このような不良行為少年に対する補導活動につきましては、少年の健全育成において、警察の責務を果たすために必要な活動として行われているものでありますが、補導の対象となる不良行為の範囲、少年が有害物件を所持していた場合の取扱い、深夜に補導した家出少年等の保護の取扱い、あるいは少年警察ボランティアとして委嘱している少年補導員の位置づけ等について明確に定めた法令がないということもありまして、その活動にさまざまな支障を来していたところであります。そこで、こうした補導活動の範囲や根拠と手続を明確にするとともに、社会全体で少年の非行を防止し、その健全な育成を図るという仕組みを明確にするため、本条例の制定を提案することとしたものであります。 本条例案の概要についてでありますが、まず、不良行為の対象を、刑罰法令に触れる行為ではないが、少年の健全育成に障害を及ぼすおそれのある行為であると規定し、法令により少年が行うことを制限している行為などを中心に、少年の年齢区分に応じてその類型を具体的に列記し、条例上明確にしております。このように、条例によって補導の対象となる不良行為を明確に定義することによりまして、県民の意思を反映した補導活動を行うことができるようになるとともに、現場における恣意的な判断を排して、無用の混乱を避け、少年の権利・利益の保護にも資することができるようになると考えているところであります。 次に、警察職員による補導措置として、不良行為少年に対し、不良行為を行わないよう注意を行うとともに、その後の非行を防止するため必要な助言または指導を行うこととするとともに、こうした助言・指導等を行うに当たって必要な質問や同行について規定いたしました。 また、少年が有害物件を所持している場合には、自己廃棄を促したり、任意の提出に基づいて警察で一時保管することができる旨を明記するとともに、深夜に家出少年等を補導した場合には、少年の同意のもとに、少年が十六歳未満の年少者である場合には少年の同意または保護者の依頼のもとに、保護することができる旨を明記いたしました。 このように、警察が行う不良行為少年に対する補導活動の内容や手続を明確にすることにより、現場でのスムーズな補導活動が期待されるとともに、特に、物件の保管や保護が基本的に少年の同意のもとで進められる手続であるといったことが明記されることによりまして、少年の権利・利益の保護にも資することになると考えているところであります。また、警察職員が補導を行うに当たっては、常に少年の健全育成を期することを念頭に置いて行う旨を明記しておりまして、少年の特性に応じた補導が行われるよう配意をしているところでございます。 次に、従来、警察署長が少年警察ボランティアとして委嘱をしている少年補導員につきましては、本条例案では、警察本部長が委嘱をすることとするとともに、その活動内容や、警察、関係機関・団体、他の少年ボランティア等との緊密な連携を図るといった活動上の準則を定めているところでありますが、特に、少年の個人情報についても知り得ることになることから守秘義務を課すこととしておりまして、少年補導員の活動についての県民の信頼が得られるように工夫がされているところであります。 次に、こうした不良行為少年に対する補導活動は、警察だけで行うべきものではなくて、各種ボランティアの協力を得たり、また、保護者や学校関係者などとも緊密な連携を図るなど、社会全体で取り組むべきものでありますので、そのことを条例上明確にいたしました。すなわち、本条例案では、保護者や県民の責務を定めるとともに、不良行為少年の補導を行った場合の保護者や学校などへの連絡、連絡を受けた保護者などが講ずることが期待される措置、保護者の申し出があった場合の支援などについて定め、さらに、警察が少年の非行の防止及び保護に関する施策を実施するに当たって、学校、市町村の機関その他の関係機関及び少年の健全な育成のための活動に携わる者と緊密な連携を図るべきことや、これらの機関等に協力要請ができることを明記したところであります。 このように、本条例は、社会全体で少年の非行を防止していく上での一機関としての警察の位置づけや、保護者、県民、関係機関等の位置づけを明確にしているところでありまして、警察だけが補導に関する業務を負担することにはならないと考えておるところであります。 なお、本条例の運用に際しましては、県民及び滞在者の自由と権利を不当に制限しないことや、条例の規定による警察職員の権限が犯罪捜査を目的とするものではない旨も明記しているところでありまして、本条例制定の暁には、その適正な運用を図り、一層の少年の健全育成に努めていくこととしたいと考えておるところであります。 以上でございます。 ○議長(秋本登志嗣) 三十九番松井正剛議員。 ◆三十九番(松井正剛) ただいまは、知事、そして教育長、警察本部長から答弁をいただきました。質問が多岐にもかかわらず、丁寧に答弁をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。 おのおのの問題につきましては、予算委員会に入らせていただきますので、そのときに議論を深めていきたいと思います。 私の質問、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(秋本登志嗣) しばらく休憩します。 △午後二時五十七分休憩    -------------------------------- △午後三時二十分再開 ○副議長(辻本黎士) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、四十八番川口正志議員に発言を許します。--四十八番川口正志議員。(拍手) ◆四十八番(川口正志) (登壇)新創NARAを代表して、知事並びに教育委員長と教育長に、公安委員長と警察本部長に、それぞれ質問をいたします。いささか苦い質問になろうかと存じますが、よろしくお願いをいたしたいと思います。 柿本知事は今、平城遷都一三〇〇年のイベントに向けて極めて精力的に取り組まれています。先般そのプラン構想をちょうだいいたしました。奈良の都に繰り広げられた歴史のロマンに思いを馳せて、新しい奈良のロマンを開こうとされている、このイベントへの県民の興味さまざまでございます。 さて、私は県議会に席をいただいて二十七年、この間、奥田知事、上田知事時代をも過ごさせていただきました。「国土・県土の均衡ある発展」、「保存と開発」を県政の冠とした基本政策を示されてきました。今日の過疎・過密現象を危惧されてのことだったととらえております。柿本知事は一期目、十四年前より「遊」をテーマとした政策を前面に押し出されてきました。かつての奥田・上田両知事時代の「均衡ある発展」、「保存と開発」というテーマは、柿本県政にあっては死語になっているのでしょうか。柿本知事にまずお尋ねをしておきたいと思います。 近年は誠に恐ろしい、怖い世情にございます。子どもの安全、食べ物の安全、建物の安全、さらに健康・生命の安全までが損なわれています。いわゆる偽装、偽計、偽証、偽善のまかり通る不愉快な現実でございます。これを見て、柿本知事の進めておられる「遊」、つまり「ゆとりと豊かさ」の政策の進行上、いかなる心境に今おありか、伺いたいと思います。 都市の農山漁村との格差は広がるばかりであります。全国で六千の村、集落が消えていると報ぜられました。私の出身地御所市でも、二十戸あった村が今では二世帯、老夫婦だけの暮らし、あとは空き家という村がございます。少子化現象、いよいよ人口減の時代はともかくとして、南和、東和の人口減、過疎化は著しい。奈良県勢は北高南低、西高東低は否めない歴然とした現実でございます。この現実をいかに柿本知事はお思いか。今日までの「遊」の県政は、「均衡ある県土の発展」、「すべからく県民の安心感」に通じているとは言えないのではないか。改めて所見をお伺いいたします。 先般招集された国会における小泉首相の施政方針において、経済の活性化にかかわって、「金融システムの安定した今日、貯蓄から投資への流れをすすめ、国民が多様な金融商品やサービスを安心して利用できるよう法制度を整備します。どの町も村も独自の魅力を持っているはずです。地域や町の潜在力を引き出し、日本、あるいは世界の中で一流の田舎や都市になろうとする意欲を支援してまいります」と表明をされました。この内容を柿本知事はいかように受けとめられたか、お尋ねをいたしたいと思います。 投資から浮かんでまいりますホリエモン事件は犯罪的マネーゲームであり、生産性と歯車がかみ合わない経済観念であります。あるいは、小泉首相の一流の田舎とはどういう姿なのか。今の中南和、東和の田舎を何と表現をすればよいのでしょうか。意欲を支援するとの内容はどんなものなのか、小泉内閣の国政を受けて柿本知事の対応策を尋ねる次第でございます。 昨秋策定された「二十一世紀の観光戦略」、包含しての「新やまと二十一世紀ビジョン」では、「歴史の奈良」、「住まいの奈良」、「共生の奈良」を県の個性ととらえ、住民・企業・行政などの一体性をさまざまな分野で生かそうという組み立てのようであります。また、平城遷都一三〇〇年記念事業を、「歴史文化との対話と交流」をテーマとして構想計画を示されました。夢も構想も、推進体制や具体的プログラムをつくらねば物事は運びません。しかし、風説まがいの絵空事や一過性のイベントに終わらぬよう期待するものでございます。 振り返ってみまするに、市町村合併の推進がございます。そもそも市町村合併は、小泉内閣の過疎地域を安楽死させようとする構造改革だとも言われてきました。合併をしなければ過疎地域の野垂れ死にもやむなしの方針でありました。つまり、合併による一つの自治体の人口増という過疎対策の偽装でしかなかったのではないでしょうか。それにしても、県域を八ブロックに統合させる県の合併推進構想がなぜ進まなかったのか、明確にすべきではないでしょうか。合併実現は葛城市と宇陀市の二市誕生、奈良市と五條市への隣接村の吸収合併だけであります。私の御所市には合併の機運さえ訪れませんでした。その他の地域もいかがであったのか、原因の追及なくして県民一体参画の県政ビジョンの着実化は本当に進展するのかどうか、案ずる次第でございます。 読売新聞の新年特集として「輝け、わがまち」が七回連載され、「やまと二十一世紀ビジョン」の内容紹介と地域活性化に意欲を持つ地域の姿が紹介されておりました。さきの十二月定例議会で、平城遷都一三〇〇年記念イベントとのタイミングとされ、観光を軸に据えた施策として、ホテル、旅館などの誘致に県税の優遇措置を打ち出されたことは一つの具体的な展開であります。また、ユネスコ世界遺産にあやかったシンポジウムなどの国際的イベントなど、多彩なプログラムが盛り込まれていますが、このようなアドバルーン的なものだけでは、全県全域に根を張ったビジョン推進の広がりにはなるのでしょうか、お尋ねをいたします。 県民挙げての参画と動きを求めるためにも、市町村自治体をはじめ、観光・商工の各種業界や各界各層から成る団体との連携組織が肝要であります。二月七日に行われました記念事業協会の第一回理事会のレジュメが届けられましたが、協力団体の機関承認や承諾を受けておられるのかどうか、イベント成功と地域活性化を願う県政と市町村政との効果・結節に通じる展開になっているのかどうか、疑問でございます。 平城遷都一三〇〇年記念事業は、公費百四十五億円、民間企業百五億円、入場費百億円の計三百五十億円をかけ、集客五百万人を見込まれています。厳しい今日の経済環境だからこそのイベントだと理解し、これが成功を何はともあれ祈りたい。なおまた、古都奈良に建設の大極殿は、計上額百九十五億円、国がすべてを賄うということなので、奈良のためには大変うれしく思います。また、昨年オープンされた県立図書情報館百十一億円余りの事業も立派でございます。けれども、これらの事業はいずれにしても北和中心の施策であり、北高南低、西高東低の域を出ないイベント、事業であります。いささか南和の住民として嫉妬心を覚えるものでございます。 私は、かねがね持論として発想の転換を求めてきました。奈良県の地図を、十津川を上辺に置いたものにつくりかえ、かつその上に県政のウエイトを置きかえられたい。新しいバランスのとれた県政を構築していただきたいということでございます。柿本知事にお願いをしたいことは、中南和、東和を県政から置き去りにしない、こういうことでございます。 次は、三位一体改革の問題でございます。 地方分権にふさわしい展開になっているのかどうかの点検が重要でございます。国や政府の示す結論で辛抱できるのか、我慢できるのかを率直に知事にお尋ねをする次第でございます。 全国四十七都道府県のうち、我が奈良県は自主財源の乏しい自治体と言えます。平成十八年度県予算の編成にも苦心がうかがえますが、国庫支出金の削減の見返り税財源、地方交付税の激減、何をもって補うか、また、県債の債務残高約一兆円に及ぶこの重荷の解決、財源の見通しは立つのかどうなのか、お伺いをする次第でございます。 全国知事会をはじめ地方六団体の見解には、地方交付税削減の論調に自治体格差や差異の特殊性が組み込まれていないのではないでしょうか。柿本知事はこの地方六団体の改革案にすべて同意の見解なのかどうか、お伺いいたします。あわせて、三位一体改革本年度分においての県及び県内市町村の利点、損点はいかがなものであったのかを含め、お伺いをする次第でございます。 都会と農山漁村との格差を是正するための地方交付税の意義が損なわれている問題。税源の地方移譲のもと、住民税に幾ら税率を上乗せしても、人口の少ない地域で税収が伸びるはずはございません。また、広い面積ありても評価の低い資産に、税収の増嵩が期待できるものでもございません。これでは、東京をはじめ首都圏を一極とする都市偏重の繁栄策であり、改革とは名ばかりの地方衰退の三位一体構造改革ではないかと言わねばなりません。平成十九年度以降、第二期改革につなげという一部府県の引き続いての地方分権改革の推進が強く求められているようでありますが、さきに述べた、都市と農山漁村の格差是正のための交付税の意義が損なわれたままの三位一体改革には、抵抗、批判を強められるべきであります。三位一体改革の目的は、住民の自治意識の醸成、成熟した民主主義の土台となる真の地方分権改革の骨格づくりにあるとするならば、なおのこと今の推進方針は受け入れられないものであると反論をしておきたい。知事の所見はいかがなものか、お伺いをする次第でございます。 次に、産業振興についてであります。 今日、いかに時代の進展とともに新産業の創出が求められたとしても、伝統的地場産業をふるい落とすがごとき展開は許されません。まだまだ郷土の心とたくみとわざを継承し続ける地場産業の振興は重要であります。 工場等の近代化のために土地利用、建ぺい率等についての緩和措置でございます。既に調整区域の緩和措置を少々行われてはおりますが、事業の根づいた先祖伝来のその土地で伝統産業が生き続けることのできる、産地的配慮としての緩和措置にはまだまだ適合していない。いま一度実情を見直し、改善措置を行われたいと思います。 次は、薬業振興についてであります。 本年も正月早々、第三十二回配置従事者大会が開かれ、柿本知事も出席されました。業界関係者の今日的な薬業界における課題が厳しく提起され、参会者ともどもその切実性を確かめられたことでございます。薬業は、「奈良のくすり」として、我が奈良県の伝統的な主要産業であると認知されています。医薬品の製薬、流通、販売にかかわる業界の領域分担ありても、医薬消費の安全性確保は、常に業界従事者一体的連携にして、顧客消費者の信頼確保のために研さんし、資質の向上に努めながら薬事それぞれを持続されてまいりました。また近年、地震、積雪、豪雨などにおける災害時の医薬品の備蓄が問題になっており、配置薬の貴重な存在意義が高まっています。医薬品販売の消費者利便のための緩和策として、従来医薬品であったもののうち比較的作用が緩和なものを医薬部外品にクラスがえを行うことで、コンビニ等においても販売サービスされるようになってはいますが、配置販売はこれらコンビニとは根本的に法的な位置づけが異なるばかりでなく、貴重な利便性、特殊性を背負っています。また配置販売は、今日の飽食現代病にかかわる初期健康相談員的な役割を、情緒と安堵感を持って、情報提供と相談応需のできる伝統的体質を既に十分備えているものと言えます。先用後利をモットーに、奈良の持つ伝統の心を全国に伝え続けてきました。 そのような状況の中、平成十六年五月より厚生労働省の厚生科学審議会において、医薬品販売制度の見直しが検討されました。この報告を折り込んだ法改正が提起され、近く国会に上程されるようであります。厚生科学審議会の検討部会の報告書における「医薬品販売に従事する者の資質確保とその確認のための資質認定試験の導入」は、医薬品のリスク分類と資質のあり方や、消費者、国民からの信頼確保の観点から考えると、避けて通ることはできないとしても、試験制度の導入に当たっては、試験のレベル、高齢従事者の処遇や販売における雇用の問題など、配置販売業の歴史的意義、配置販売業の実態を十分に配慮した上、一定期間の経過措置や円満な導入措置が設けられるべしであります。また、この円滑な移行ができなかった場合、本当に困るのは、配置薬を使用している県民であり国民でございます。このような観点から、新制度への円滑な移行が可能となるよう、知事は奈良県政における適切な措置を行われるとともに、国及び関係機関に対する強力な働きかけを行われるよう、要請をいたします。 一方、三年前より着手されてまいりました産研学共同による「新しい配置薬・奈良ブランド医薬品」も、国の承認審査を経て完成に近いと聞いております。これが普及対策のために中小企業活路開拓事業委員会を発足されたようでございます。奈良薬業界活性化につなげるよう格段の県政支援が必要であります。その販売推進対策としてどのような施策をお考えなのか、知事にお尋ねをいたします。 次に、土木・建築、公共事業でございます。 その一つとして、建築についてお尋ねをいたします。 今、耐震強度偽装事件、いわゆる建築確認業務が問題となっています。これは、官でできることは民でできないはずがないという構造改革・民営化強行の弊害がもたらしたものであると言えます。特定の公益事業には、民営化への移行がかえって社会的不利益を生むものであることのあらわれだとも言えましょう。官の業務には、本来的には利益、利潤を度外視し、公益のみを追い求める公正さと厳正さが課せられます。これに対して民の業務は、あくまでも利益、利潤の追求を目的としており、公益性の追求には一定の限界がございます。一九九八年の建築基準法の改正によって、規制緩和・民営化推進の名のもとに建築確認業務が官から民に移行、急激に、建築業界の影響下に建築確認業務が民間包括されることになりました。ビジネスの世界、業者間の料金や審査の柔軟性、キックバックの競い合いが生じ、職業倫理を衰えさせる現象が広がってきたと言われています。 奈良県にあっては五年前、県が五百万円、奈良、橿原、生駒の三市が三百万円、その他社団法人等の出資による財団として、なら建築住宅センターが設置をされました。当初基本財産は、千五百万円のうち県は三分の一の出資比率であったものが、千五百万円の増資により三千万円となり、県の出資比率は六分の一と低くなっています。つまり県は、出資しながら監査権を持たない機能になってしまったということであります。昨年の暮れ十二月二十八日の朝日新聞は、このなら建築住宅センターについての疑問を投げかける記事を掲載しておりました。指定確認検査機関としての機能が不十分だということ、また、これは官なのか民なのか、あるいは第三セクター、半官半民なのか、そして、その管理運営についてどのような機能を持っているのか、また、他の民間指定確認検査機関と比べてその実績や評価はいかがなものなのか、お尋ねをしたいと思います。 その二、公共事業であります。 昨年、県建設業協会等からの要請を受けて、「公共工事の受注機会の拡大確保等に関する請願」は昨年九月議会において採択をされました。この改善策は進められていると存じますが、大手ゼネコンに重心を置いた公共工事の発注を改め、県内業者の育成、県内中堅業者にウエイトを置いた発注に切りかえられたい。知事の所見をお伺いする次第でございます。 また、京奈和自動車道路の大和北道路のコースが決まり、一つ前進、四月には大和区間五條道路の供用になることを大変うれしく思っております。ついては、御所区間の用地確保が七二%と聞いております。文化財発掘も始まったと聞いておりまするが、新しい年度の計画と予算はいかがなのか、お尋ねをしたいと思います。 なお、財政不如意であります。公共事業のやり過ぎという都市的世論がつくられていますが、奈良県は過疎地域であり、他府県と比べれば、やり過ぎ論は当を得ない。もっと頑張った公共事業の推進を期待したい、このように願う次第であります。 次に、産業廃棄物対策であります。 柿本知事は昨年、私の質問に対し、産業廃棄物の減量化、再生、再利用の推進とともに、今後の循環型社会形成のために、公共関与による産業廃棄物処理施設の設置は重要課題であるという考え方の上に立ち、県内の処理状況、先進県の事業実施及び処理技術の動向等の調査研究を行う、また公共関与する場合であっても、地元住民の理解に基づく用地選定が最重要な課題であり、平成十五年度に県内自治体に対しても用地選定適地情報の提供を求めたとお答えになりました。しかし、この知事のお答えは建前論だけであって、心底真剣に対応されようとするものでないと私は感じているわけでありまするが、私の指摘は言い過ぎでございましょうか。 この産廃処分場施設課題は、容易ではないほどに難題がつきまといます。そこで、産業廃棄物税の還流交付は、廃棄物処分場設置地域における種々なる心情をくみ取ることによって、次なる対応策に通じさせるためでもあり、処分場の周辺住民への配慮措置のために苦衷する関係自治体への産廃税の還流交付は、極めて意義深いものだと、重ねて強く要請をしておく次第でございます。 次に、福祉問題であります。 ことし四月から改正された介護保険制度がスタートしますが、今回の改正では介護予防と地域密着型の新たなサービスが導入され、一月二十六日に厚生労働省から示された介護報酬の改定案は、在宅の中重度者には手厚いものになっていますが、今までの在宅介護の大きな部分を占めていた要支援と要介護一の軽度者には、月単位の定額制の介護予防サービスの利用となり、本当に支援が必要な人に必要なサービスが提供されないのではないか、介護予防サービスを行う事業者や人材がどれだけ育っているのか等、事業実施に向けての課題は山積をしていると思いますが、こうした軽度者に対する予防マネジメントを担当する、今回の改正の柱でもある地域包括支援センターが十分機能するのか、県行政の見解、知事の見解をお伺いするものでございます。 今回の法改正では、市町村が日常生活圏域を設定して介護保険事業計画をつくり、地域包括支援センターには、一人ひとりの状況に応じ、地域のサービスを組み合わせる調整者としての役割が求められます。具体的には、自立者を対象にした介護予防事業、地域の高齢者の総合相談・支援、権利擁護事業、ケアマネジャーの支援、そして、介護保険事業としての軽度者を対象にした予防給付のケアプランの策定が行われることになります。しかし、今回の改正で要介護者を対象にした居宅介護支援の標準件数が三十五件とされ、予防給付のケアプランの報酬も低いため、地域包括支援センターが外部の居宅介護支援の事業所に予防プランの策定を委託しようとしても、なかなか協力が得られないということが言われています。このことについて、現在の状況はいかがか、お尋ねをいたします。 また、地域包括支援センターが機能するには、運営協議会が機能を発揮せねばなりません。特に、さまざまな地域資源の開発とネットワーク化という機能を発揮して、地域コミュニティーの再生を地域福祉の向上へと結びつけるには、県の地域福祉支援計画と市町村での地域福祉計画の具体的推進がかぎとなります。今、長屋の福祉という言葉がよく使われていますが、どんな生活困難者も包み込んで支え合える地域社会をつくるため、地域福祉計画の現在の状況はいかがか、お尋ねをいたしたいと思います。 次に、奈良県における人権行政の推進についてお尋ねします。 まず、さきの十二月定例議会において「人権侵害救済法の早期制定を求める意見書」を採択いただきましたこと、改めて感謝を申し上げます。 私が理事長を務めております水平社博物館の来館者が、昨年末十八万人を突破しました。ホームページへのアクセス数も二十四万件を超えました。多くの皆様のおかげであり、この場をおかりして御礼、感謝を申し上げる次第でございます。今、水平社博物館では、三月二十六日まで、企画展「琉球・沖縄~ウチナーンチュの歩み」を開催いたしております。戦後六十年の企画として、歴史と現在の沖縄を取り巻く現状にスポットを当てています。議員の皆さん、理事者の皆さん、行政関係者の皆さんに、ぜひこの機会にご来館いただけるようお願いをいたしておきます。 昨年、鳥取県での九月議会において、人権侵害が多発する中、これを救済するため、議員提案により全国初の人権条例「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」が制定されました。国において法制化のめどが立たない中、地方から独自の人権救済制度を設け、迅速できめ細かな人権侵害の救済につなげようとする鳥取県の取り組みにエールを送っている次第でございます。しかし、一方でこれに反対のキャンペーンを行う人々が存在し、片山知事はこのほど、期限を定めず施行を凍結する方針を示されました。反対を表明しているグループは、インターネット等で、鳥取県産品の不買運動をする、鳥取県には行かないなどのキャンペーンを張り、県行政に相当な圧力をかけているようでございます。こうしたグループの主張は、基本的には昨年通常国会において政府の人権擁護法案提出に反対したグループの主張と同質であり、極めて悪質で意図的な反対運動であります。背後には、人権委員会が特定団体に牛耳られたらどうする、人権擁護委員には国籍条項が必要などと、愚にもつかない主張をする国権主義、排外主義の動きを感じるわけであります。 そもそも人権救済制度が求められるのは、言うまでもなく、私たちの周りで日常的に差別や人権侵害が繰り返されている現実があるからでございます。奈良地方法務局の集計によりますと、昨年度の人権侵犯事件としてとらえた件数は二百七十六件、人権相談を受けた件数は四千二百十四件となっており、いずれも増加しております。とりわけ同和問題に注目をして奈良県内の状況を見てみますと、二〇〇四年に橿原市が行った人権意識調査では、約七割もの人が、同和地区の人との結婚について差別があると答えています。一昨年来、京都、兵庫、大阪の行政書士が、職権を利用して自治体から戸籍謄本や住民票を不正に入手、それらを興信所に売り、身元調査に使われるという極めて悪質な事件が発覚しております。なお、またまた新たに、三十年前を思い起こす「部落地名総鑑」が再現しました。全国の被差別部落について地名や所在地などを詳細に記載しています。怒りがこみ上げています。背景には依然として、結婚や就職等に際して、部落かどうか調べてほしいという依頼が根強く存在するからであります。私たちの調べでは、奈良県においても、関連する三人の行政書士から二十四市町村八十二件の職務上請求があったことが判明しております。 そこで、知事にお尋ねいたします。とりわけ司法書士や行政書士による職権を悪用した悪質な差別事件について、どのようなご見解をお持ちなのか、お尋ねをいたします。 このような差別の現実に対して、国の対応のおくれは、立法・行政の不作為だと批判したい。鳥取県の先進的な取り組みにおくれをとらず、奈良県こそが人権政策の先進性を発揮し、具体的な人権救済制度の制定のため、県議会のご協力をいただきながら、今ある人権条例をより措置効果を高める条例に改正、制定を願う次第でございます。 昨年奈良県は、人権相談ネットワークを立ち上げられました。これまでの私どもの提案に積極的におこたえいただいたものだと評価をしています。このネットワーク、特に人権相談に対応する相談員の養成・確保、相談機関との連携や相談対応メンバーが広がる推進体制を期待します。また、これまでインターネットプロジェクト等に取り組んできた啓発連協では、今後テレビ電話を使った人権相談をスタートさせるということですが、こうした新しい取り組みへの支援や、既に活動がなされている「エセ同和高額図書お断り一一〇番ネットワーク」との連携になる積極的な方向をお示しいただきたい。知事の所見をお伺いする次第でございます。 次に、教育とスポーツ、勤労意欲などについて伺います。 幼少期、少年期の環境や教育の機会による、人生の幸、不幸への影響は極めて大きい。生産の伴わない、金、金、金がすべてのホリエモン型人間は勤労蔑視であり、働くことをしないニートと言われる人たちも不幸でございます。ニート族が今後もふえ続けるならば、日本の将来、大いに不安であると言わねばなりません。先般テレビで、親の甘い子育てに原因があり、成人しながら勤労、納税の義務を負わぬニート族の責めとして、ニート族税を親に代償納税させてはいかがかというトークがございました。それはともかくとして、学校教育に積極的な労働、勤労の基礎的実習授業の経験を取り入れられるよう望みながら、教育長にお尋ねをいたします。 私がよく通る道路わきに、橿原市の新沢小学校の学習田がございます。田植え、草取り、稲刈りなどの作業を見ました。また、幾つかの学校において、収穫米を食糧難にあえぐ国に送るというお話も聞きました。勤労、平和、国際友誼、頼もしい姿でございます。このような取り組みを県としても奨励すべきであり、全県的実情はいかがなものか、お尋ねをいたします。 また、学校の夏休み期間を利用した多様な作文やポスター、デザイン画などの学習奨励としての企画募集がなされていますが、これに対する応募指導は、学校及び担当教職員の熱意、関心、趣味及びスポーツ等の関係もあり、差異があるようであります。防災、人権、環境緑化、納税、地域産業などの課題に、積極的に作品を通して子どもらにかかわらせる教育こそ、実践の伴う人生の身につく研修であり、あまねく課題の啓発活動であり、郷土愛、人間愛の基礎づくりに連なると存じますが、いかがでございましょうか。教育長の教育観と実践、実態をお聞きいたしたいと思います。 なお、少子化による学校規模縮小のため、多様なスポーツ種目のチームづくりが難しく、複数校によるチーム編成などの対応がなされていると聞きます。これらの部活動にどれほどの教職員が指導参画されているのか、お伺いをいたします。 スポーツの基本は、走る、跳ぶ、はねる、伸ばす等、いわゆる足腰を鍛えることであろうと私は思っています。その基本動作のための初度施設や道具として、かつては鉄棒や砂場、跳び箱、マット、綱などが少なくともすべての学校に備えられていました。今日的にはいかがか。野球、サッカーなどの人気スポーツのみに目が向き、身近に設備されねばならない初度設備が忘れられているのではないか。県内学校の遊具、施設等の設備状況はいかがか、お伺いをいたします。特に砂場は、跳ぶだけではなく相撲道場がわりにも役立ちます。今日、相撲や柔道等の国技においても国際化が進んでおり、こだわる時代ではないという考えもありましょうが、日本の伝統はやはり日本の教育の場で大事にしてもらいたいと思う次第でございます。 最後に、防犯と青少年対策についてお伺いをいたします。 その一、娯楽番組と犯罪についてであります。 かつて日本は、世界一安全な国、治安のよい国として広く知られておりました。しかしながら、近年、皆さんご承知のように、犯罪の悪質化、凶悪化が顕著であります。連日連夜伝えられている事件報道を見るにつけ、今やこの国は、いつ、どこで殺傷の災難や不幸に遭遇するやらわからぬ、世界で最も危険、不安な国になぞらえられているように思えてなりません。我が奈良県における一年余り前の小学生誘拐殺人事件、さかのぼって月ケ瀬における少女殺人事件を思い起こしながら考えるわけでありますが、テレビでの「サスペンス劇場」、「ミステリー劇場」は毎日放映、「土曜ワイド劇場」や女性刑事ドラマ「アンフェア」、そのほかにも「相棒」、「はぐれ刑事」、「京都迷宮案内」など、殺人犯罪がストーリーになっている番組が極めて頻繁に放送されております。一週間に二十五本前後、一カ月では実に百本の殺人ドラマが放映されております。いっとき「ギフト」というドラマで、木村拓哉演じる主人公がサバイバルナイフを身につけていたことで、そのナイフが飛ぶように売れたことがありました。これらの娯楽番組が殺人犯罪を娯楽に錯覚させ、殺人誘発に大きな影響を及ぼしているのではないかと私は見ています。凶悪犯罪多発など勘案し、青少年問題懇話会など六団体でも青少年に及ぼす悪影響を懸念し、残虐なゲームソフト類の製造、販売の自粛をメーカーに申し入れされたと聞いております。 かねがね犯罪防止にご苦心、ご尽力をいただき、有害図書の規制などにも地域社会と連携されるなど対策の効果も上がり、刑法犯認知の減少が報じられています。我が県における昨年一年間の認知件数は、前年比二千五百七十七件減の二万一千三百六十五件でありますが、これをゼロ件にまで減らしたいというのがお互いの願いであろうはずだと思うわけでありますが、そこで公安委員長の所見をお伺いしたい。さらにまた、教育啓発の立場から教育委員長にもお尋ねをしたい、かように思うわけであります。初めて公安委員長や教育委員長さんのお出ましを願うわけでありますが、ひとつお互いの目線、共通認識になることを期待する次第でございます。 その二、警察安全相談についてでありまするが、犯罪立件として取締り措置の難しい人権侵害にかかわる事象が多種多様な形で起こっています。差別言辞による威圧、差別を双方ともネタにし合ったけんか、えせ同和出版物の押し売り行為の相談事例や、クーリングオフなどの付随する問題であります。法令違反の司法取締りは警察官の職務基本ゆえ、これらの相談事例に適切な対応をなされていると思いますが、倫理上放置できぬ人権意識や人権侵害にかかわる事例の対応をいかがされているのか、警察本部長にお尋ねをする次第であります。 その三、少年補導条例についてでございます。 (仮称)奈良県少年補導条例案に反対する奈良弁護士会の会長声明が、私ども県会議員に送付をされてまいりました。趣旨を理解し、趣旨に沿った対応を求められています。少年の社会生活の現状、現象をいかに把握し、その背景にあるものをどのようにとらえるかという弁護士会長の提起であろうと私は読んでいます。現象を理性的に、あるいは性善説的心情、孔子の説く五常、五つの徳「仁、義、礼、智、信」でとらえたいという一面の気持ちと、ついつい直情的嫌悪感から性急に走ってしまうという一面とに、私はいつも葛藤するわけでありまするが、少年非行と社会不安は対立矛盾の社会の不幸な現象であります。 少年を救い、社会不安をなくすべき心情と対応に苦慮する人々は社会の大勢を占めているわけでありますが、弁護士会長いわく、「警察の権限の拡大は適切な手段ではない。少年犯罪防止のために大人に求められていることは、悩みやストレスを早期に正面から受け止め、一人ひとりの子どもの尊厳を確保し、その力を引き出すことであり、学校・地域社会・福祉機関・医療機関・保健所などは、子どもに対する人権侵害を見逃さず、関係機関との連携を強めて対処すべき」との提言でありました。「不良行為に該当するとして、少年に対する指導が権力的・画一的であっては、少年を真の更生に導くことができません。なおキメ細やかな対話・ケアこそが大切」だと提起をされています。弁護士会長はさらに、「地域住民に対し不良行為を通報するよう責務を法定化するのは如何なものか。県条例は制定権の範囲を超える等々、警察比例の原則に反するというものであり、必要なのは教育・福祉的施策である」と強調され、これらの施策の一層の強化が訴えられています。柿本知事は、この奈良県少年補導にかかわる弁護士会長声明に対しての所見はいかがか、あえてお尋ねをする次第でございます。 以上をもちまして私の質問を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(辻本黎士) 柿本知事。 ◎知事(柿本善也) (登壇)四十八番川口議員のご質問にお答えいたします。 第一点は、奈良県政についてと称してのご質問でございます。質問では、奈良県政の諸点について例を挙げながら点検をいただきました。各種の発想の転換も含めまして、ご指摘の諸点はいずれも大切な政策課題であります。私も、若干の例を挙げながら疑問にお答えいたしたいと思います。 まず、均衡ある発展についてでございます。 地域の政治を目指す者にとりまして、この均衡ある発展というのは永遠の重要な課題であろうかと思っております。私は「遊」のある奈良県づくりというテーマを提示してまいりましたが、もとよりこれは均衡ある発展と対峙する、対立する、そういうものではございませんで、むしろ何がその時々の均衡であるかを、過去、慣例にとらわれることなく、やわらかく考えていこうとするのが「遊」の基本であると考えております。ちなみに、今年度で十年間が終了いたします奈良県新総合計画も、その施策展開の七つの柱を立てておりましたが、その七つ目の柱は「均衡ある県勢の発展と総合的な地域づくり」としておりました。毎年度の予算でもこの柱を軸にして予算編成をしてきたことはご承知のとおりだと思います。また、具体の事業におきましても、道路整備、農林道整備、林業対策、あるいは新年度から始まります森林環境税の導入、五條吉野魅惑体験フェスティバルの開催、あるいは世界遺産登録記念イベント、こまどりという会社によるCATV、ケーブルテレビの全県普及の進行、施設を挙げますと、各地の道の駅とか柿博物館、みつえ高原牧場、林業機械化推進センター、万葉文化館など、それなりに各種の努力と試みをしてきたつもりでございます。地域の社会の動きを県政の力だけで決定づけることは難しいところがございますが、少なくとも質問で申された、均衡という言葉を死語にしたという気持ちは私はございません。少なくとも実践への意欲ではむしろ生き生きとしているとご評価いただきたいと、こう考えている次第でございます。 なお、小泉総理のご発言を引用されましたが、私、そのお言葉を解説するだけの力はございませんので、その点は差し控えますが、引用された文章の中にございますように、どの町も村も独自の魅力を持っているはずですという、こういう切り口を意欲の原点ととらえておられまして、その側面からそれぞれの地域の活性化を促し、支援していこうという趣旨かと受け取っておる次第でございます。どのような地域であれ、できる限り独自性を発掘して、それぞれの魅力を伸ばそうとする意欲は大切と考えます。例えば吉野魅惑体験フェスティバルの開催では、その効果が関係者の努力で生み出されているように思っております。 また、安全・安心、設計偽装などの例を出して多くの人々の信頼を裏切る行為にお触れいただきました。私はまず、こういう事例に対して、みんなでその行為を責める社会の雰囲気をつくる必要性を痛感しております。法規制の見直しも必要でありましょうが、お互いの暗黙の信頼関係を大事にする規範意識の回復、向上が優先して考えられるべきだと感じておる次第でございます。 次に、平城遷都一三〇〇年記念事業、あるいは観光戦略、「やまと二十一世紀ビジョン」などの計画や構想が単なるアドバルーンにとどまってはならないことは、私も、ご指摘のとおり感じております。平城遷都一三〇〇年記念事業につきましては、二月の理事会で実施基本計画が決まりましたので、今後精力的に、市町村はもとより、各種業界や各種団体の積極的な協力や主体的な参画をお願いするため、各種の資料を提供しながら、それぞれ精力的に説明会や意見交換会を重ねてまいりたいと計画しております。特に県内各地域はもとより、関西一円、さらには全国各地との歴史的、文化的なつながりを掘り起こしまして、各種の連携事業を立ち上げることも、この記念事業の四つのプロジェクトの一分野を占めることでございます。幅広く広報宣伝と参加要請を進めてまいりたいと考えております。また、観光戦略、「やまと二十一世紀ビジョン」につきましても、県民の皆様に、より深い関心を寄せていただけるように、県民の目線でわかりやすい整理を行ったり、あるいは明確なプロジェクト、数多い目標値の設定などに努力を図ったところであります。個々についてはお答えいたしませんが、ご理解を賜りたいと考える次第でございます。 二点目は、三位一体の改革についてのお尋ねでございます。 特に、この改革案の結果について同意なのかと、あるいは、県や市町村に対する利点、損をした点はどうであったかと、こういうことについてのお尋ねでございます。 地方六団体の改革案の取りまとめという機会がございました。これに際しまして、リストに盛り込む補助金の選択と、財政力の弱い団体に対する財源措置についての二つが主な論点になりました。私といたしましては、本県や県内市町村のような財政力の弱い団体では、国庫補助負担金の廃止・縮減額に対しては税源移譲額が不足するおそれがあり、地方交付税による確実な財源調整が必要であるという点を強く主張してきたところでございます。六団体の改革案におきましても、地方財政全体としても、また個別の地方公共団体でも、地方交付税の所要額を必ず確保することという明記がされたところでございます。また、個別の補助金に関しましては、各地方公共団体間で利害が一致しないところがございます。地方財政全体が補助金頼みの状況から脱却しなければならないという地方分権のいわば大義のもとで、地方が結束して事に当たることを重要と考え、私も地方六団体の改革案に賛成したところでございます。 しかし、平成十八年度までの三位一体の改革の結果といたしましては、国においては地方案にない補助金を対象としたり、あるいは単なる補助率カットを行うなど、地方の裁量を高めるという改革の本来の目的に沿わないものとなった次第でございます。税源の移譲ということは一つの前進だったと思いますが、そういうふうな印象を持っております。個別の補助金の廃止・縮減に対しましては、地方交付税の算定を通じて適切に財源措置をしたということになっておりますが、地方税収の伸びもあり、地方交付税総額が引き続き全体としても削減されたため、特に財政力の弱い団体に大きな影響を生じているところでございます。 既に申し上げているように、本県や県内市町村の状況につきましては、臨時財政対策債を含む地方交付税について、県では平成十八年度当初予算で前年度と比べて七十一億円の減少、県内のほとんどの市町村でも県と同様の減少が見込まれるなど、各団体の財政運営において多大の影響を生じていることは事実でございます。また、国庫補助負担金の廃止・縮減につきましても、県では税源移譲額との差額により約十九億円の負担増、市町村では、平成十八年度は合計ではおおむね税源移譲額で賄えているものの、個別団体によっては数千万円から数億円の負担増となっております。さらに、児童手当とか児童扶養手当、また、県では義務教育費や国民健康保険、介護保険といった義務的な経費について、国の補助率のカットにより地方負担が増加しておりまして、今後各団体で財政構造の硬直化が一層進む、こういうような懸念がされる、これが十八年度までの改革の主な点であろうかと思います。 次に、この三位一体の改革について、平成十九年度以降の第二期改革についての所見をと、こういう、反論も含めてのお尋ねでございます。 地方分権の推進とそのための地方税財源の充実は、地方自治関係者の共通した思いであると思います。したがって、私もこの点に関する限りは引き続き努力してまいりたいと考えております。しかし、具体的に平成十八年度までの第一期の改革の結果を踏まえますと、従来と同様の手法で第二期改革を行えば、地方にとって失うものが大きいのではないかというご質問のご懸念はよく理解できるところでございます。全国知事会としても次の段階に向けた議論を始めたところでございますが、現時点では第二期改革に対する姿勢は、各県知事の間で異なる点が見られます。しかし、これまでの三位一体の改革の結果が地方の裁量性を高めるという本来の改革の意図に沿ったものとはなっていないという点については、ほとんどの各県知事とも同様の認識をしていると考えております。そういう前提で、第一期の改革の結果をよく分析した上で、地方としての戦略をきちんと練り直すことが重要であると考えている次第でございます。 一方で、国におきましては、ことし六月までに歳入歳出一体改革の選択肢、工程表を取りまとめることとされておりますし、経済財政諮問会議のワーキンググループや総務大臣の懇談会でも地方財政をめぐる議論が始まっているところでございます。国における論議の中では、地方公共団体はむだ遣いをしているとか、特にその元凶が地方交付税であるといったたぐいの、まあ乱暴と言ったら恐縮でございますが、現実の姿を踏まえない議論がしばしば見られるところでございます。こういう中で、地方の声を国の議論に反映させ、地方財政の仕組みや実態について現実の姿を踏まえた論議を行ってもらうよう、地方六団体が結束して声を上げていくことが大切であると考えております。特に本県の立場といたしましては、地方交付税の財源調整機能の充実強化を主張していきたいと考えております。このため、財政力の弱い団体の現状について、都市部の団体の理解も得つつ、国の関係機関、マスコミ、経済界などの地方財政に対する認識が深まりますよう、取り組みを深めてまいりたいと考えております。 次は、産業振興についてでございます。 特に、土地利用の規制緩和措置についての改善措置はどうかと、こういうお話でございます。 奈良県産業の新たな活力と雇用を生み出す企業立地促進の観点から、平成十四年以降、工場の新規立地や規模拡張を円滑に推進するために、土木部、商工労働部が連携いたしまして、市街化調整区域における開発許可基準の規制緩和に取り組んでいるところでございます。昨年一月には、地域に根差した地域振興産業、いわゆる地場産業などが集積している地域において、産業の振興に寄与すると認められる業種の工場立地を可能にする開発許可基準を作成し、適用しているところでございます。この地域振興産業の対象となる業種や、対象とする市町村につきましては、市町村の意見を聞きながら、地域の実情に応じた見直しを行うとともに、市街化調整区域の土地利用規制につきましても、必要な緩和措置を講じてまいりたいと考えております。ご理解を賜りたいと思います。 それから次に、奈良ブランド医薬品の今後の販売促進対策についてのお尋ねでございます。 平成十五年度から産研学の共同で開発を進めてきた配置薬・奈良ブランド医薬品は、国の製造承認も取得いたしまして、現在のところ製造販売に向けて準備が進められておりまして、県といたしましても業界の活性化につながるものとして期待しているものでございます。今後の販売推進対策といたしましては、業界と連携を図りながら、宣伝の推進と販路の拡大を柱として実施したいと考えております。まず宣伝の推進では、東京の代官山iスタジオを利用した広報をはじめとした「薬と健康の週間」関連イベントの紹介、並びに外箱パッケージやチラシにロゴマークとかキャッチコピーを掲載して、宣伝活動の充実を図ってまいりたいと考えております。次に販路の拡大では、配置による販売はもとより、薬局とか薬店におきましても、奈良の薬コーナーを設置していただいて、商品の販売推進に努めてまいりたいと考えております。 次に、土木・建築等についての質問でございます。 なら建築住宅センターについてのお尋ねでございます。 なら建築住宅センターは、昭和五十年に設立された財団法人奈良県建築防災協会を平成十二年に発展改組した公益法人でございます。その業務は、建築物の耐震診断業務などの公益事業に加えて、平成十二年度から建築確認検査業務を行っております。このセンターは、民法に基づく公益法人ではありますが、建築確認検査業務に関しては、建築基準法上、民間機関と同様の位置づけとなります。また、このセンターの管理運営でございますが、寄附行為において、理事長が法人を代表し、役員二十七名による理事会で会務の執行を決定することとされております。確認検査機関としての実績については、平成十六年度の県内建築確認件数は約八千七百件でございますが、このうちセンターが約三千百件、三五%、他の民間機関の二十四機関で約三千四百件、三九%となっております。 県は昨年十二月にこのセンターの立入検査を実施いたしまして、構造計算書の審査方法、審査体制について点検を行っておりますが、定められた審査方法に基づき業務を行っており、この点、確認検査業務を適正に行っていると考えております。今後ともセンターの運営、体制については、的確に検査、監督を行ってまいりたいと考えております。また、センターに対しまして、国で検討が進められている公益法人制度の見直し等を踏まえまして、役員の選任とか、それから、より広い視野から法人の業務執行を監督する機関としての評議員会というものがございますが、この設置及び県民向けの公益事業の拡大実施を指導してまいりたいと考えております。 次に、公共事業について、県内中堅業者にウエートを置いた発注に切りかえることについての所見というお尋ねでございます。 この点につきましては、公共事業の発注に当たりましては、公共工事の品質確保の促進に関する法律等の趣旨にかんがみながら、県工事につきましては、県内業者で施工可能な工事は県内業者に発注することを原則として受注機会の拡大に努めてきたところでございます。今年度の十二月末までの県発注の建設工事に占める県内業者の受注割合は、総件数で千五百九十二件のうち九二%、総契約金額三百四十九億円のうち七四%となっております。これまでは高度な技術を要する特殊な工事については、県外業者と県内業者とで構成するJVへの発注を行ってまいりましたが、平成十八年度からは構成員の半数以上を県内業者とし、これらの工事への参加の機会を拡大してまいりたいと考えております。また、県発注の工事における県内業者への下請負の発注、並びに県産品の活用についても配慮してきたところでございますが、さらに受注業者に対して今後強く協力要請を行いまして、県内産業の育成、発展に努めてまいるつもりでございます。 なお、県内での国の直轄事業についてでございますが、これにつきましても、近畿地方整備局長に対し、県内建設業者の受注機会及び下請等による参画の拡大を要望してきているところでございます。 次に、京奈和自動車道の御所区間の新年度の計画、予算についてのお尋ねでございます。 まず、ご質問にもございましたが、京奈和自動車道の御所区間については、今年度十七年度は用地買収及び文化財調査を実施しており、本年一月末現在で全体の七二%の用地を取得しているところでございます。平成十八年度でございますが、御所市條・室地区及び朝町地区を中心に用地買収が進められる予定でございます。また、引き続き文化財調査を実施するとともに、今年度に文化財調査が完了した地域において、平成十八年度に工事に着手する予定でございます。平成十八年度の直轄道路事業費は約三百二十億円でございますが、このうち京奈和自動車道事業費は約二百三十億円と想定しております。県は、全体の直轄道路負担金は八十二億円になります。そのうち京奈和自動車道では五十億円を計上しているところでございます。そういう形で、今後も引き続き、この全線の一日も早い完成に向けて国に強く働きかけてまいりたいと思います。 次は、産業廃棄物対策についての質問でございます。 お尋ねの点は、公共関与についての従来の答弁はあるけれども、本当に真剣にやるのかと、こういうお尋ねでございます。 公共関与による産業廃棄物処理施設の設置、これはもう昨年、まさに今後の循環型社会の形成のために取り組まなければならない重要課題である旨答弁したところでございまして、その考え方には変わりはございません。これまでこのような認識に基づいて、公共関与に必要な施設の種類、規模等を検討するため、実際にどのような種類の廃棄物が県内でどれだけ発生し、どういった方法、ルートで排出、処理されて、埋め立てているかの実態を調査するとともに、先進県における施設の処理技術、経営手法等についても調査研究を重ねてきたところでございます。しかし、公共関与の事業化に当たりましては、技術的、経営的な課題に加えまして、これまでも答弁申し上げておりますが、施設周辺の住民や関係市町村の理解と協力が不可欠でございます。そういう意味におきましても、従前より県内全市町村に対して用地選定のための適地情報の提供を求めておりますが、現在までのところ適地情報が得られていないというのが現状でございます。適切な適地がもたらされた際には、真剣に取り組んでまいりたいと考えております。 なお、近年の産業廃棄物処理場の処分量の状況でございますが、リサイクルの進展とか産業廃棄物税の導入等によりまして減少傾向にございます。また一方、近畿圏の広域的な公共関与である大阪湾フェニックスの埋立て期間が延長され、受入れ区域の拡大のなどの状況変化もございます。今後これらの情勢を踏まえながら、引き続き本県における産業廃棄物処理施設の公共関与のあり方について、調査研究に努めてまいりたいと考えております。 次に、介護保険の改正関連での質問で、軽度者への予防マネジメントを担当する地域包括支援センターというのは機能するのかと、こういうような質問が第一点でございます。 今回の介護保険制度改革によりまして、新たに新予防給付が導入されることになりました。この新予防給付の実施に当たりましては、社会福祉士、保健師、主任ケアマネジャーなどの専門職種を配置した地域包括支援センターが介護予防プラン作成等のマネジメントを行うこととなっておりまして、四月には三十九の全市町村において合計五十九のセンターが設置される予定でございます。この新予防給付が円滑に導入されるためには、介護予防マネジメント体制を整えることが重要でございまして、県では今年度、地域包括支援センターに配置される専門職員に対する研修などを実施したところでございます。十八年度におきましても、これらの研修に加えまして、県内関係機関のネットワークの構築を目指した連絡協議会を設置するなどの事業を実施することとしております。県といたしましては、そうした連携を図りながら、地域包括支援センターの円滑な運営がなされるよう、今後とも支援してまいりたいと考えております。 次に、予防プランの策定を委託しようとしても、協力が得られるのかと、こういう状況についてのご質問でございます。 今回の介護報酬の改定に伴いまして、新たな新予防給付のケアプラン作成に係る報酬が設定されました。このような報酬の設定を受けて、各市町村では、現在四月以降の地域包括支援センターでの実施体制等に検討を進めているところでございます。議員お述べになりましたように、新予防給付のマネジメントを適切に行うことが困難となる場合も考えられるところから、国におきましては、新予防給付のマネジメント業務に従事する担当者として、保健師のほか、ケアマネジャー、社会福祉士、経験ある看護師等を加える等の緩和措置がとられる見込みでございます。県といたしましては、これらの措置について、市町村に対して周知徹底し、新予防給付マネジメント業務が円滑に運営され、サービス利用者に不便を来すことのないよう、市町村を支援してまいりたいと考えております。 次に、地域福祉計画の策定状況等についてのお尋ねでございます。 地域福祉計画は、だれもが住みなれた地域で生き生きと暮らしていくために必要な取り組みべき内容を、住民座談会などの住民参加により定めるものでございます。この住民座談会で地域住民の意向把握と課題の整理を行い、地域住民が地域福祉活動にどのようにかかわっていくのかを明確化し、計画に十分反映させることが、ご指摘の地域コミュニティーの再生でございますし、地域福祉の向上につながるものと期待しているところでございます。市町村での地域福祉計画の策定状況でございますが、平成十七年度末で四市二町でございまして、十八年度にはさらに一市二町が策定の予定でございます。県ではこれまでガイドラインを策定するとともに、説明会やシンポジウム等を開催いたしまして、その支援を進めてきたところでございます。今後ともこの策定が進むように市町村を支援してまいりたいと考えております。 次に、人権行政に対するご質問でございます。 特に具体的な、行政書士による職権を利用した悪質な差別事件についてのお尋ねでございます。 行政書士による住民票の写し等の不正請求というのは、国民のプライバシーを侵害すると同時に、重大な人権侵害につながる、あってはならない極めて残念な事件だと考えております。このような事件の背景には、制度上の問題もありましょうけれども、職務上必要な個人情報を取り寄せることができる司法書士とか行政書士等の資格のある一部の者が、人権意識や倫理観の欠如、あるいは、身元調査を依頼する者や金もうけの手段にする調査業者等の存在、あるいは、それを支える差別意識があると考える次第でございます。 こうしたことから、県では昨年、県行政書士会をはじめ司法書士会等の団体に対して、職務上請求書の適正使用及び戸籍謄本等の厳正な取扱いの実施を求めたところでございます。また、奈良県行政書士会においても、会員に対する研修会を開催するなど、人権意識の高揚に取り組んでいると聞いております。また、国に対しましては、都府県で組織しております全国人権同和行政促進協議会を通じまして、原則公開とされる現行法の改正を含めた必要な措置と、監督する団体に対する職務上請求書の適正使用及び戸籍謄本等の厳正な取扱いの指導を要望したところでございます。今国会に住民基本台帳法の一部を改正する法律案が提出される予定であると聞いております。また市町村には、請求内容を慎重に審査した上で、プライバシーの侵害または差別事象につながるおそれがあると認められる場合等は請求に応じないとした要綱に基づいた対応を要請するとともに、毎年担当者の研修会でその趣旨の徹底に努めているところでございます。いずれにいたしましても、差別意識の存在がこうした事件を招く要因となっておる次第でございまして、人権が尊重される社会づくりに向けて、今後啓発の充実に引き続き努めてまいりたいと考えております。 次に、人権相談ネットワークについての、方向についてのお尋ねでございます。 人権に関する相談は、さまざまな要因が絡み合って複雑多様化しておりますし、こうした相談に迅速かつ適切に対応していくためには、やはり相談員の資質向上とか相談機関相互の連携強化が不可欠でございます。こうしたことから、国、県、市町村の公的機関の窓口だけではなく、NPO等のさまざまな人権相談機関が密接に連携・協力して、当事者の立場に立ったきめ細かな相談・支援を行えるように、昨年十月、八十八機関で、なら人権相談ネットワークを立ち上げております。この二月には、各相談機関の相談員を対象とした研修会を開催して、今後も定期的に開催してまいりたいと考えております。また、広く県民に対して相談窓口の周知に努めるとともに、ネットワークの拡充にも努めてまいりたいと考えております。 なお、市町村人権・同和問題啓発活動推進本部連絡協議会が新たにスタートを予定している人権相談事業につきましては、その充実を図る上でネットワークとの連携が効果的だと考えております。今後、円滑に情報交換を行うなど連携を図るとともに、インターネット掲示板上の差別書き込みに対する啓発活動等に対して、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。 また、同和団体を装って高額な図書を押し売りしたり寄附を強要したりする、えせ同和行為を根絶するために設置された「エセ同和高額図書お断り一一〇番連絡ネットワーク」というものがございますが、これとも連携いたしまして、互いに取り組みの理念や情報を共有するなど、人権侵害や不当行為を許さない世論づくりに努めてまいりたいと考えております。 次は、少年補導条例案についてのお尋ねでございます。特に、奈良弁護士会の会長声明が送付されてきた、これに関連して所見はいかがと、こういうご質問かと思います。 このたび提案しております奈良県少年補導に関する条例につきましては、奈良弁護士会から、議員ご指摘のような意見が表明されていることは私も承知しております。私は、少年の健全な育成のためには、まず原則は、保護者がきちんと家庭における教育をしっかり行うことが重要と考えている次第でございます。ところで、非行の入口に立つ、あるいは非行や不適切な交遊関係に巻き込まれようとしている少年少女を見かけた場合、警察職員のみならず、地域住民の方々も、見て見ぬふりをするのではなくて、どの子も次代を担う我が子であるという意識を持って、温かい声をかけるような雰囲気が欲しいものだと私も考えている次第でございます。 本条例は、このような観点から、保護者や県民の責務を定めるとともに、従来から行ってきた警察の補導活動について、その範囲や根拠、手続などを明確にしようとするものでございまして、私としても、時宜にかなったものであると考えております。警察職員は、職務の性格上、街頭等においてこうした少年を発見する機会が多いことから、その都度、状況に応じた適切な注意や助言、指導等の補導を行うことは、ごく自然な行動であると私は思う次第でございます。もちろん、不良行為を行う少年に対する補導活動は、警察だけで行うものではなく、ボランティアの協力を得たり、また、保護者や学校関係者などとも連携を図りながら取り組むべきものであると考えますし、条例でもそのような仕組みについても明確にしているところでございます。 なお、県民の皆様方にも、不良行為を目にした場合、注意をする勇気を持っていただきたいところでございますが、状況によりましては、保護者、学校関係者、警察、福祉関係者等への連絡が必要な場合もあり、そうしたことも含めて、条例では努力義務として規定されているところでございます。 条例案の策定に当たりましては、警察本部におきましてパブリックコメントを実施するなど、賛成、反対の意見をいただいてそれを参考にしながら、慎重に検討を重ね、立案したものと承知しておりまして、私は、少年の非行防止に対する大方の県民の意識に応じたものとなっていると考えております。 なお、本条例の提案に当たりましては、奈良弁護士会のご意見のような懸念の声もあるところでございます。条例におきまして「県民及び滞在者の自由と権利を不当に制限しないよう留意しなければならない」との規定も置かれているところでございます。条例の制定について議決をいただいた暁には、県警察本部において、このような声があったことも踏まえて、職員に対する研修、指導の徹底も含めて適正な運用を行うものと期待している次第でございます。 以上でございます。 ちょっと勘違いいたしまして、答弁は要らないかと思いましたが、どうも、事務方からこれは答弁が要るんだというご説明がございましたので、失礼いたしました。産業廃棄物についての、廃棄物税の関係自治体への還流交付ということでございます。要請しておくと聞いてものですから、ちょっと答弁は要らないかと思いましたのですが、今申し上げたような事情で、お答えさせていただきます。 産業廃棄物税につきましては、産業廃棄物の排出抑制、再生利用、減量、その他適正な処理の推進を目的として導入されたものでございます。この税の目的に沿って、平成十六年度から、排出事業者のゼロエミッションへの取り組みに対する支援や産業廃棄物監視センターの監視パトロール強化など、この税を財源として循環型社会の推進に努めてきたところでございます。この税が産業廃棄物の排出抑制、減量化等を推進するための、使途を限定した目的税でありますので、ご指摘のような産業廃棄物税の関係自治体への還流交付ということは困難であると考えている次第でございます。もとより地域環境の保全は産業廃棄物行政にとって重要な課題でございますので、今後とも条例制定の趣旨にのっとりまして、優良な処理事業者を育成するための研修とか、処分場周辺の監視パトロールを実施するとともに、平成十八年度から県警ヘリコプターによる航空監視を実施するなど監視の強化を図って、一層の適正処理の推進に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(辻本黎士) 矢和多教育長。
    ◎教育長(矢和多忠一) (登壇)四十八番川口議員のご質問にお答えをいたします。 私には、大きく二点についてお尋ねをいただいております。 一点目は、実習授業と教育啓発についてでございます。勤労、平和、国際友誼の取り組みの状況と、夏休みを利用した作文、ポスター制作などの課題学習の状況、そして、私の考えについてお尋ねをいただいております。 勤労や国際親善等についての学習につきましては、子どもたちに社会の形成者としての資質を育成する上で大切であり、現在各学校において取り組まれております。例えば米づくりには小学校の約四〇%が、また地域の美化活動等の勤労体験には小中学校の約五〇%が取り組んでおります。さらに中学校の約九〇%が職場体験を実施しております。また、収穫した米をアフリカに送ったり、廃棄された車いすを修理し、東南アジアに送ったりする国際親善・友好活動に取り組んでいる学校もございます。 次に、各種コンクールや作品募集についてでございますが、県の教育委員会では今年度約六十件の後援等を行っておりますが、これ以外にも多数の募集が学校に届いております。多くの学校では、その中から学習したことが生かせるものや子どもの成長につながるものなどを一覧表等にまとめまして、子どもが興味・関心などに応じて主体的に課題を選択して応募できるようにしております。コンクール等に応募することは、創作・制作活動等の体験を通しまして、思考力や表現力を身につけることにつながるとともに、そのコンクールの趣旨やねらいについて深く考え、地域を大切にする心や社会性をはぐくむ機会にもなるものと考えております。今後ともこのような趣旨を啓発し、各学校におけるコンクール等の応募が充実するように指導してまいりたいと考えております。 二点目は、教育とスポーツについてでございます。複数校によるチーム編成の部活動と教職員の指導参画の状況、そして、走る、跳ぶ等の基本動作を培うための鉄棒、砂場等の整備状況についてのお尋ねでございます。 近年の少子化に伴いまして、県内の学校の運動部活動の数は減少傾向にありまして、中学校では十九校、高等学校におきましては四十校が複数校による合同部活動を実施しております。平成十五年度に県が実施いたしました調査では、大多数の教員が運動部活動の教育的意義を認識し、生徒たちの活動を指導、支援したいと考えております。しかし、すべての教員が技術的な指導ができるとは限らず、生徒の引率や精神面での支援等、役割分担をしながら学校全体で部活動の活性化に向けて取り組んでおります。県では、「運動部活動わくわくプラン21事業」を実施し、今年度は中学校では四十一校四十一部に、また高等学校では十九校二十部に、技術的な指導ができる外部指導者を派遣いたしまして、部活動活性化の支援を行っております。 学校内に何らかの運動施設がございますと、子どもたちは体を動かす機会がふえ、例えば砂場での相撲遊びや鉄棒を使った運動は、基礎体力を高めるために有効であると認識をいたしております。鉄棒、砂場、跳び箱、マット等の施設や用具は各学校に整備をされ、体育の授業等で活用されておりますが、児童生徒の体力低下の現状を踏まえまして、一層有効に活用されるように指導してまいります。 以上でございます。 ○副議長(辻本黎士) 畠中公安委員長。 ◎公安委員長(畠中俊尚) (登壇)四十八番川口議員から、娯楽番組と犯罪について所見とのことであります。 県警察では、平成十五年から犯罪抑止総合対策に取り組み、刑法犯認知件数は三年間で約一万件、率にして三三%強と大幅に減少させるとともに、検挙率も上昇させるなど、抑止と検挙の好循環が継続し、大変心強く感じている次第であります。しかしながら、刑法犯認知件数の減少という数値が示すほど、県民の感じる治安はよくなっていないように思われます。これには幾つかの事由が考えられますが、その一つとして、殺人、強盗などの凶悪犯罪、とりわけ昨今、子ども、女子に対する犯罪が多発していることが挙げられます。このような凶悪犯罪については、議員が述べられたテレビ放映やゲームソフト等が少なからず影響を及ぼしているように私も感じております。しかしながら、直ちにこれらを規制することは難しいのが現実です。もちろん、犯罪を限りなくゼロに近づけることは、私を含め県民すべての願いであり、公安委員会としては、県警察が、犯罪の検挙活動に加え、青色防犯パトロールなど自主防犯団体の活動の拡充支援や青色防犯灯の設置促進等の犯罪抑止総合対策を一層推進するよう、適切に管理してまいりたいと存じております。 以上です。 ○副議長(辻本黎士) 議事の都合により、会議時間を五時三十分まで延長いたします。 松本教育委員長。 ◎教育委員長(松本眞理子) (登壇)四十八番川口議員のご質問にお答えいたします。 私には、娯楽番組と犯罪について、教育啓発の視点からの所見をお尋ねいただいております。 青少年の健全育成のためには、子どもたちを取り巻く環境がとても大切な役目を果たしておると考えております。県の教育委員会が行いましたこれまでの調査でも、中学生の暴力とテレビなどの暴力シーンとの間に一定の相関関係が認められております。私は、人は美しいもの、感動できるものに多く触れることが大切であり、とりわけ青少年には、音楽や美術など心を豊かにする芸術に数多く触れて、人間本来のやさしさや美意識をしっかりと培ってほしいと考えております。県教育委員会では、青少年の健全育成に向けて、心の教育の推進や生徒指導体制の充実などに努めておりますが、大人社会におきましても、次の世代をしっかりと育てていこうとする強い意識を持って、慎みある行動をすることが今まさに求められていると考えております。 以上でございます。 ○副議長(辻本黎士) 菱川警察本部長。 ◎警察本部長(菱川雄治) (登壇)四十八番川口議員のご質問にお答えいたします。 私には、警察安全相談についてお尋ねでございます。 警察では、県民から寄せられる警察活動に対するご意見、ご要望や苦情のほかに、広く犯罪等による被害の未然防止を図るための相談業務を行っております。このため、警察本部の県民サービス課に警察総合相談室を、また、警察署の県民サービス係に警察安全相談窓口を設置するほか、警察本部に二十四時間で対応する警察相談専用電話を導入するなど、所要の体制の強化を図っており、県民の方々の相談に真摯に対応しているところであります。平成十七年中に警察が受理した相談件数は約二万二千件に上りまして、その内容も、いわゆる架空請求やヤミ金融等の悪質商法に関するものをはじめ、犯罪や交通事故に伴う被害防止に関する相談、家庭、職場、近隣関係の問題等、多岐にわたっております。 これらの相談の中には、差別的言動など人権侵害が背景にあると思われるものもあると承知しているところでございます。こうした相談の対応に当たりましては、従来から基本的人権を尊重することはもとより、相談者や関係者の立場に立ち、親切、丁寧かつ誠実を旨として対応しておりまして、寄せられた相談内容が刑罰法令に抵触する場合は、法と証拠に従って所要の捜査を遂げ、検挙することは当然のことでありますけれども、刑罰法令に抵触しない事案でありましても、必要に応じて防犯指導や相手方への指導、警告を行うなどして被害の未然防止を図っているほか、民事上の法律的な対処の方法を教示するなど、個々の相談事案に応じて適切に対応してきております。また、警察のみで対処できない事案につきましては、相談者の意向に十分配慮しつつ、国や県、市町村の担当部局や民間支援団体と連携を図って対応しておりまして、これらの機関において取り扱うことが適切である場合には、円滑に引き継ぎを行うなど、誠実な対応に心がけております。今後とも、人権侵害にかかわる相談に対しましては、職員に対する指導教養を徹底し、指導・助言能力の向上を図るとともに、警察も加盟しております、なら人権相談ネットワークを通ずるなど、関係機関・団体との緊密な連携を図りながら、適切かつ誠実に対処してまいる所存であります。 以上でございます。 ○副議長(辻本黎士) 四十八番川口正志議員。 ◆四十八番(川口正志) 知事はじめそれぞれご答弁をいただきました。 率直に申し上げまして、川口というやつは嫌な質問するなあというのが大体知事の心情であったのではなかろうかと。というのは、質問はすべてお答えいただいてない。お答えのないのは嫌な質問だったんだろうなあと、こういうふうに私はとらえました。この短時間で議論できませんから、折々にまた激しい議論をさせていただきたい、こういうふうに思うわけです。心中は、いろいろ川口さん、あんたは言うけども、懸念には及びませんよ、歴史を大事にしておりますよと、こういうような思いだけはちょっぴりね、ちょっぴり感じておりますから、それでもなおかつやっぱり、私どもは申し上げなきゃならんことは、議員として、申し上げなきゃならん。理事者と私どもは車の両輪ですから、一輪車ではございませんので、一輪車は危ないですから、二輪車は安全ですから、やはり物を言わせてもらった方がよかろう、県政のためによいのではないかと、こういうふうに思います。失礼いたしました。 教育長ね、私が申し上げた内容に、もう極めて短絡にお答えいただいたのですけども、問題は、やっぱり大事ですよ、これ。教育現場の現実、事実というやつをやっぱり調査する、統計をとる。実際そう動いているんだと、七割八割こうやってますし、五割はこういう、田んぼで子どもたちが実習やっておりますよと、それだけではちょっとやっぱりぐあい悪いと思うんです。真剣にやっている教師は、随分やっぱり援助せないかん。大体なまけている先生が、こんな言い方したらいかがと思いますけども、病気の人もおれば、体力のね、いらっしゃるし、専門的な方もいらっしゃいますから、一概には言えませんけども、大体やらない先生が、やる先生の足を引っ張ってる現実があるということも、これはきちっととらえておかないかん、こういうふうに思うわけです。いずれにしても調査、統計、現実をしっかりと数字で押さえてもらいたい、このように思うわけです。そういう意味で、今後ともこれは折々に、厳しいまた議論をさせてもらいたい、教育のためにやりたいと思います。 それから、公安委員長ね、思いをお伝えいただいて…… ○副議長(辻本黎士) 質問時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。 ◆四十八番(川口正志) (続)はい、ちょっと猶予してください。 マスコミ、目で、問題は感じているんだけど、今すぐどうしようもないんだったら、どうしようもできないのか。これはやっぱり変えるための動きを、やっぱりやっていただきたいものだと、いろんな機会を通してね。それをどういう形でやるかということが問題だろうと思いますが、ひとつこういった問題、何とかお互い努力し合いたいものだと、このように思います。 時間超過、謝ります。ありがとうございました。   -------------------------------- ○副議長(辻本黎士) 次に、請願二件、陳情五件を上程します。 お手元に配布しております文書でご承知願います。 なお、請願は、調査並びに審査の必要があると認めますので、所管の常任委員会及び議会運営委員会に付託します。   --------------------------------(建設委員会)請願第十七号      熊野川濁水対策、環境保全改善に関する請願書                 請願者  和歌山県新宮市熊野地二丁目八番一号                      熊野川漁業協同組合連合協議会                      会長  畑地 淳                 紹介議員 飯田 正                      国中憲治《請願の趣旨》 熊野川流域に暮らす私達にとって、熊野川は命の源であり生活を営む基盤でもあります。 平成十六年七月には、「川の参詣道」として世界遺産に登録され、一躍、私達地域の川から世界人類共有の貴重な財産であり宝物となりました。このことは熊野川と共に生きる私達にとって誇りそのものであります。しかしながら熊野川の現状はとても世界に誇る熊野川とは言い難く大変苦慮いたしております。 次代を担う子供達に、豊かで雄大な熊野川の再生を図り伝えていくためには、森林の保水力の確保と涵養を図り、荒廃を防ぎながら熊野川を着実に再生させてゆかなければなりません。 つきましては、下記理由のとおり熊野川濁水対策、河川環境の改善等の取り組みを、貴議会において採択のほどお願い申し上げます。                   記《請願の理由》[濁水対策] 平成十六年は過去に類を見ないほどの台風が日本列島に上陸し、熊野地方においては甚大な被害がでました。濁水問題においては、台風十一号以降は、北山川もこれまでの十津川以上に長期的に濁り、鮎の成育等に多大な影響を与えました。十津川においては小さな出水においても濁水の長期化が懸念されるほど慢性化しており、本来の熊野川の能力を著しく低下させるばかりか、沿岸部の環境にも多大な影響を与えています。 このため、熊野川濁水軽減対策の更なる改善と十津川第二発電所における発電放流水の清水化を電源開発(株)に強く働きかけて頂けるようお願い申し上げます。[河川環境の改善] 二津野ダムから十津川第二発電所間は、減水区間になっているため、渇水期には瀬切れが確認されています。このため、河川の環境保全のために二津野ダム河川維持流量の増加を関係機関に強く働きかけていただきますようお願い申し上げます。 ダムにより下流部への土砂の供給はなきに等しということは周知するところでありますが、このダム直下では岩礁が露出し、砂利の流れによる河床洗浄や自然浄化作用がなくなっております。環境に優しいダムと言われているように、河川に対しても優しく、地域住民に対しても優しいダムであるように、電源開発(株)において、ダム直下に砂利を投入し、河川浄化機能が高まるよう働きかけして頂きたくお願い申し上げます。[環境保全のための広報と啓発活動] 河川環境保全のためには、ダム設置者の協力なくしては成し得ない部分が多大でありますが、熊野川の環境と保全のためには流域の住民が熊野川を取り巻く現状を知り、一人ひとりが日々の生活から見直ししていかなければなりません。とりわけ、生活排水は河川汚濁の原因のひとつとなっていると言われており、濁水対策と同様に今後の課題であります。 また、河川を守り育てるためには、その水源である森林の再生と循環に向けた取り組みも必要不可欠であります。こうした現状の中、次代の子供たちへ貴重な森林や河川を遺していくためにも環境に優しい生活への取り組み、自然と共存を意識するため、広報と啓発活動、及び河川パトロールの強化によるゴミの不法投棄防止を求めると共に、清掃活動や森林再生に向けた植樹等の環境保護活動に取り組みやすい支援制度の拡充をお願い申し上げます。 《熊野川漁業協同組合連合協議会構成組合名簿》組合名代表者名住所熊野川漁業協同組合代表理事組合長 小淵郁夫和歌山県新宮市熊野地十津川村漁業協同組合代表理事組合長 中野利夫奈良県吉野郡十津川村三重熊野川漁業協同組合代表理事組合長 荘司準治三重県南牟婁郡紀宝町成川熊野川鵜殿漁業協同組合代表理事組合長 梅本憲次三重県南牟婁郡鵜殿村紀和町漁業協同組合代表理事組合長 川村鉱一郎三重県熊野市紀和板矢北山川神川漁業協同組合代表理事組合長 畑地 淳三重県熊野市神川町   --------------------------------(議会運営委員会)請願第十八号      奈良県議会議員の山辺郡選挙区存続を求める請願書                 請願者  奈良県山辺郡山添村大西一五一番地                      山添村長  窪田剛久                      奈良市都祁甲岡町一〇六番地                      奈良市議会議員  北 良晃                      奈良県山辺郡山添村広代六五六番地                      山添村議会議長  菊岡 薫                      奈良県山辺郡山添村毛原六〇〇                      区長会長  福井新成                            外五、三〇四名                 紹介議員 新谷紘一《請願の要旨》 昨年四月一日に山辺郡旧都祁村は、奈良市に編入合併され、これからの新たな飛躍をめざして進むことになりました。 このことに伴いまして、県議会議員の山辺郡選挙区(旧都祁村と山添村)は、公職選挙法の規定によりこれまで認められておりました特例選挙区が、昭和四十一年一月一日現在の選挙区でなくなること、また、山添村だけとなった山辺郡選挙区は人口要件が議員一人当たり人口の〇・五を割っているため、当選挙区は隣接の選挙区と合区する必要があるとのことにより山辺郡・奈良市選挙区とされたところであります。しかしながら、合併特例法の規定により、当選挙区は従前のまま次の一般選挙の任期まで、すなわち一般的な認識としては平成二十三年四月の任期まで存続することを条例により定めていただきました。このことについては、私どもとしましては地域の状況に配慮された措置として深く感謝申し上げるものであります。 ところが、この条例(市町村の合併に伴う奈良県議会の議員の選挙区の特例に関する条例)では見直し規定が盛り込まれており、昨年、実施されました国勢調査の状況などを踏まえ、現在、「県議会議員定数検討委員会」を設置され、総定数の改正も含めた条例の見直しを検討されていると伺っております。この検討に際しましては、存続をお認めいただいた従前の山辺郡選挙区が、このまま存続することは言うに及ばず、同条例の第一条が変更されることのないよう以下の主旨を申し述べまして要望いたします。 まず、旧都祁村、山添村一帯の旧山辺郡は、大和高原の中心に位置する地域で、大和茶を始めとして冷涼な気候をいかした農林産物の生産あるいは都市部の水道水源として、また美しい自然の宝庫として独特の文化を育んでいる地域であります。旧都祁村が奈良市と一体となり、今後の発展の道を選ばれたことは十分尊重されることではありますが、悠久の歴史・文化を一朝にして変えることは到底出来るものではなく、これからも旧山辺郡地域、大和高原の特色は生き続けるものと確信しております。しかしながら合併の道を選ばれた以上、奈良市民としての意識の醸成や一体感を育んでいかれるのも事実であります。したがいまして、急激な変化をもたらすよりも時間的な猶予をいただきながら新しい山辺郡、新しい奈良市としての地域を育てていきたいと願うものであります。 このようなことから、今しばらく従前の山辺郡選挙区から県議会へ代表を送りたいと願うものであります。 次に、昨年の五月十五日、奈良市議会議員の増員選挙が行われました。このことはご高承のように市議会議員においても合併特例法に基づき、新たに編入された村の区域をもって選挙区を設定し、現議員の定数に加えて増員選挙をすることができるとする特例を適用したものであります。その後、奈良市議会の解散により行われた一般選挙もこの選挙区で行われたところであります。したがって、平成二十一年七月まではこの選挙区が存置されるものであり、このことはとりもなおさず、合併後もなおしばらくは旧都祁村から議員を送り出し、円滑に奈良市への一体化が進むようにとの配慮が込められていると解されるものであります。 また、衆議院小選挙区においても、旧都祁村は従前の第二選挙区のままとされています。このように市町村合併の過渡期に置いては、合併特例法により、急激な変化を緩和する措置がとられていることに十分配慮いただきたく存じます。 以上、申し述べました主旨をご理解いただき、従前の山辺郡選挙区が次の一般選挙及びその任期まで存続するよう切にお願い申し上げます。   --------------------------------(総務警察委員会)陳情第三十七号      「公共サービスの安易な民間開放は行わず、充実を求める意見書」提出に関する陳情                 陳情者 住所 東京都港区西新橋一-一七-一四                             リバティ一四ビル三F                        日本国家公務員労働組合連合会                        中央執行委員長 堀口士郎[要旨] 次の事項を内容とする意見書を採択のうえ、政府に提出いただくよう陳情します。 一.くらしや安全に関わる国や自治体の責任を全うするため、市場化テストをはじめとする公共サービスの民間開放を安易に行わないこと。 二.画一的な公務員の純減は止め、公共サービスの改善や水準を維持するために必要な要員を確保すること。[陳情の理由] 政府は、「小さな政府」を口実に、公共サービスの民間開放と公務員の純減を進めています。しかし、効率ばかりを優先させた建築確認の規制緩和、民間開放が耐震強度偽装事件を招いたと指摘されるように、国民の安全やくらしに直結する業務の民間開放には慎重な対応が求められます。いま、政府が導入を急いでいる市場化テスト(官民競争入札)は、民間の要望をもとに、効率化の観点から国と地方のあらゆる業務を対象に競争入札を強要するものです。 国民・住民のくらしや安全に対する国や自治体の責任や公共サービスの内容についての論議は不十分なままに制度化が進められており、単に企業のもうけの場を作りだすだけの結果になるとの懸念は消えていません。 また、そのような民間開放と一体で、公務員の純減目標値が決定されています。そしてその純減は、直接サービスを提供する分野や出先機関がターゲットとされており、公共サービスの質と量における地域間格差が広がることが危惧されます。 不安定雇用や低所得者層の増大、地域間の格差があらゆる面で拡大するなど、格差社会が急テンポで広がっているもとでは、雇用や安全、社会保障などでの国の役割発揮が重要であり、民営化や地方切り捨てによる「小さな政府」では国民の安心・安全が損なわれてしまいます。 したがって、公共サービスの安易な民間開放や市場化テスト(官民競争入札)は導入せず、また、画一的な公務員の純減は行わず、公共サービスの充実を図ることが必要だと考えます。そのため、以上の点を踏まえた意見書を採択のうえ、政府に提出いただくようお願いします。  以上   --------------------------------(厚生委員会)陳情第三十八号      「医療制度改革」にあたって国民、特に難病患者・長期慢性疾患患者・障害者・高齢者の負担を増やさないことを要望する陳情書                 陳情者 生駒市東松ケ丘七-一五                       特定非営利活動法人 奈良難病連                        理事長 神田菊三《要旨》 政府・与党医療改革協議会は、十二月一日「医療制度改革大網」を決定発表しました。この内容は医療費削減を中心とした医療保険制度の根幹を崩すものであり、難病患者・慢性疾患患者・障害者・高齢者さらに全国民に負担を押し付けるものになっています。このような「制度改革」を撤回し、真に国民の健康を保障するような医療改革を行うよう国に意見書を提出してください。 現在の通常国会に、政府は、「医療制度構造改革関連法案」を提出するとしています。その内容は、「国民皆保険を堅持する」ために、「安心・信頼の医療の確保と予防の重視」をするとしていますがその中で、「医療費給付費の伸びと国民の負担との均衡の確保」が必要とし、「①都道府県間の生活習慣病原症や平均在院日数短縮などでの競い合わせ(罰則付き)、②入院給食費やホテルコストの徴収など保険給付範囲の縮小、③高齢者医療制度の創設、④保護者の再編・統合、⑤診療報酬の見直し(引き下げ)、⑥混合診療の拡大」などが含まれています。 WHOによる医療制度の国際比較では、日本は健康達成度の国政批准で世界一位、平等性で第三位とトップクラスの評価でした。一方でGDPに占める医療費の割合は十八位と先進国の中では最も低いランクにいます。つまり低い医療費で水準の高い医療を実施しているのが日本です。国民皆保険制度の下でお金の心配なく必要な医療が受けられ、早期発見・早期治療が保障されてきた、これが国民の健康を改善してきた最大の要素です。しかし、あいつぐ「医療改革」によって国民の負担は年々増加し、国・企業の負担は減少して国の負担は先進国中最低ランクになっています。国民の医療費負担は限界に来ています。 今回の「医療構造改革」は、「医療費適正化」の名のもとにこの低い水準の国と企業の負担を一層引き下げようとする計画です。これでは「安心と信頼の医療」どころか日本の医療を一層荒廃させることになるのではないかと危惧するものです。 どうか私どもの実態をご理解頂き、「医療制度構造改革」が難病患者や長期慢性疾患患者・障害者・高齢者に負担を押し付けるものとならないよう、国に対して下記の項目を含んだ意見書を提出していただきたく陳情申し上げます。[要望項目] 一.高齢者の患者負担増見直し 二.高額医療・人工透析患者の患者負担増見直し 三.入院時の食費・病床代自費化による患者負担増見直し 四.保険免責制度による患者負担増見直し 五.医療の安全と質の低下を招く医療費総枠管理制見直し   --------------------------------(総務警察委員会)陳情第三十九号      「公共サービスの安易な民間開放は行わず、充実を求める意見書」提出に関する陳情            陳情者 住所 奈良市西木辻町二〇〇-二七新谷ビル二階                    奈良県労働組合連合会 議長 梅林光生                住所 奈良市大宮町三-五-一一奈良国道事務所内                    奈良県国家公務員労働組合共闘会議                               議長 森本芳晴                住所 大和郡山市北郡山町二-四-六大和ビル一階                    奈良自治体労働組合総連合                            執行委員長 山本雅一                住所 奈良市登大路町五-五奈良県教育会館内                    奈良県教職員組合執行委員長 佐川愛子[要旨] 次の事項を内容とする意見書を採択のうえ、政府に提出いただくよう陳情します。 一.くらしや安全に関わる国や自治体の責任を全うするため、市場化テストをはじめとする公共サービスの民間開放を安易に行わないこと。 二.画一的な公務員の純減は止め、公共サービスの改善や水準を維持するために必要な要員を確保すること。[陳情の理由] 政府は、「小さな政府」を口実に、公共サービスの民間開放と公務員の純減を進めています。しかし、効率ばかりを優先させた建築確認の規制緩和、民間開放が耐震強度偽装事件を招いたと指摘されるように、国民の安全やくらしに直結する業務の民間開放には慎重な対応が求められます。いま、政府が導入を急いでいる市場化テスト(官民競争入札)は、民間の要望をもとに、効率化の観点から国と地方のあらゆる業務を対象に競争入札を強要するものです。 国民・住民のくらしや安全に対する国や自治体の責任や公共サービスの内容についての論議は不十分なままに制度化が進められており、単に企業のもうけの場を作りだすだけの結果になるとの懸念は消えていません。 また、そのような民間開放と一体で、公務員の純減目標値が決定されています。そしてその純減は、直接サービスを提供する分野や出先機関がターゲットとされており、公共サービスの質と量における地域間格差が広がることが危惧されます。 不安定雇用や低所得者層の増大、地域間の格差があらゆる面で拡大するなど、格差社会が急テンポで広がっているもとでは、雇用や安全、社会保障などでの国の役割発揮が重要であり、民営化や地方切り捨てによる「小さな政府」では国民の安心・安全が損なわれてしまいます。 したがって、公共サービスの安易な民間開放や市場化テスト(官民競争入札)は導入せず、また、画一的な公務員の純減は行わず、公共サービスの充実を図ることが必要だと考えます。そのため、以上の点を踏まえた意見書を採択のうえ、政府に提出いただくようお願いします。  以上   --------------------------------(文教委員会)陳情第四十号      栄養教諭の早期配置についての陳情書            陳情者 住所 東京都千代田区神田神保町一-三九                   社団法人 日本栄養士会 会長 中村丁次                住所 東京都千代田区神田神保町一-三九                       日本栄養士連盟 会長 神津博子                住所 東京都豊島区北大塚一-一六-六                               大塚ビル三〇四号                       社団法人 全国栄養士養成施設協会                               会長 松田 朗                住所 奈良市西大寺新町一-二-一七                               杜第二ビル 二F                   社団法人奈良県栄養士会 会長 福原圀子                住所 奈良市西大寺新町一-二-一七                               杜第二ビル 二F                       日本栄養士連盟奈良県支部                              支部長 大久保節子[要旨] 栄養教諭につきましては、「学校教育法等の一部を改正する法律」が、平成十六年五月に成立し、平成十七年四月から制度が開始されました。栄養教諭の配置は、四月から福井県、高知県で、十月から北海道において開始され、さらに本年度中に大阪府で配置が開始される予定と伺っております。 つきましては、貴県におかれましても、下記のような事項を踏まえ、早急に栄養教諭を採用、配置されますよう要望いたします。一 栄養教諭に期待される役割 近年、子どもたちの食生活の乱れが見られますとともに、肥満傾向の増大など、健康状態に懸念される点が多くあります。また、食は地域や食文化などを子どもたちに理解させる点からも重要な役割を担っております。 このような点から、我々管理栄養士・栄養士は、日夜栄養の指導等に努めておりますが、学校においても食に関する指導を充実し、子どもたちが望ましい食習慣を身につけること等が重要となっています。 このため、栄養教諭の配置を進めて、学校における指導体制の整備を図り、栄養に関する専門性と教育に関する資質を併せもつ栄養教諭が、その専門性を十分に発揮して、学校における食に関する指導計画の作成、個別指導、教科等における指導、教員間の連携・調整、家庭や地域との連携などに取り組むことが必要です。二 食育基本法の成立 「食育基本法」が平成十七年六月十七日に法律第六十三号として公布され平成十七年七月十五日から施行されております。 食育基本法では、前文で、『子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身につけていくためには、何よりも「食」が重要である。今、改めて、食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進することが求められている。もとより、食育はあらゆる世代の国民に必要なものであるが、子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものである。』とうたっています。 このように食育基本法では、子どもたちに対する食育の推進、学校における食育の推進を重視しており、基本的施策として地方公共団体において、食育の指導にふさわしい教職員の設置等の食育に関する指導体制の整備を行うことを求めています。 このような状況を踏まえ、早急に各自治体において栄養教諭を配置し、食に関する指導の充実を図ることを切に要望します。〔参考〕栄養教諭制度の概要趣旨 食生活を取り巻く社会環境が大きく変化し、食生活の多様化が進む中で、朝食をとらないなど子どもの食生活の乱れが指摘されており、子どもが将来にわたって健康に生活していけるよう、栄養や食事のとり方などについて正しい知識に基づいて自ら判断し、食をコントロールしていく「食の自己管理能力」や「望ましい食習慣」を子どもたちに身につけさせることが必要となっている。 このため、食に関する指導(学校における食育)の推進に中核的な役割を担う「栄養教諭」制度が創設され、平成十七年度から施行されている。職務 食に関する指導と給食管理を一体のものとして行うことにより、地場産物を活用して給食と食に関する指導を実施するなど、教育上の高い相乗効果がもたらされる。(一)食に関する指導  ①肥満、偏食傾向、食物アレルギーを持つ児童生徒に対して個別指導を行う。  ②学級担任等と連携して、食に関する指導を行う。  ③他の教職員や家庭・地域と連携した食に関する指導を推進するための連絡・調整を行う。(二)学校給食の管理   栄養管理、衛生管理、物資管理等資格 栄養教諭普通免許状(専修、一種、二種)を新設。 大学における所要単位の修得により免許状を取得することが基本。 他方、現職の学校栄養職員は、一定の在職経験と都道府県教育委員会が実施する講習等において所定の単位を修得することにより、栄養教諭免許状を取得できるよう法律上特別の措置が講じられている。配置 すべての義務教育諸学校において給食を実施しているわけではないことや、地方分権の趣旨等から、栄養教諭の配置は地方公共団体や設置者の判断によることとされている。 公立小中学校の栄養教諭は県費負担教職員であることから、都道府県教育委員会の判断によって配置される。身分 公立学校の栄養教諭については、採用や研修等について養護教諭と同様の措置が講じられる。   --------------------------------(厚生委員会)陳情第四十一号      国の責任を患者・地方自治体に転嫁する「医療制度改革」に反対する意見書の採択を求める陳情書                 陳情者 奈良市三条大路二-一-一〇                              奈良県保険医協会                              理事長 谷掛駿介《要旨》 政府は現在開会中の二〇〇六年通常国会に二月十日、いわゆる「医療改革」関連法案(「健康保険法等の一部を改正する法律案」「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案」)を提出した。 その内容は、七十歳以上の高齢者の医療費自己負担を一割から二割へ引き上げ、七十五歳以上の高齢者医療保険制度を創設してすべての高齢者に保険料を賦課するなど、高齢者に大幅な負担増を強いるとともに、新高齢者保険では介護保険のように運営の責任を市町村に押しつけようとしている。 また、都道府県単位に医療保険を再編するとして、医療への国の責任を、地方自治体に転嫁しようとしている。特に都道府県ごとに「医療費適正化計画」を策定し、医療費抑制を競わせて、都道府県ごとの保険料を設定することは、全国民に等しく安心・安全の医療を保障する公的医療保険の役割に照らしても、容認しがたい。 小泉内閣になってからの医療改革によって、わが国の医療保障制度は国際的にも患者の実効負担率は際だって高いものとなり、国民所得に占める国民医療費は先進国中で最下位となった。すでに、必要な医療が受けられない人々は増加しており、また保険医療機関の経営難や、押しつけられた機能再編によって地域医療の弱体化が進行している。自治体で病院を設置・運営しておられるところでは、経営難の深刻化、住民ニーズに応えられない厳しい現状を痛感されているものと思われる。 このうえに二〇〇六年度の「医療改革」が強行されるならば、地域医療のさらなる混乱は明白であり、国民皆保険による社会保障としての医療は大きく後退してしまう。 地域に密接にかかわる自治体の立場から、ぜひこのような「改革」は是認できないという意思表示をしていただきたい。[陳情事項] このほど通常国会に上程された「健康保険法等の一部を改正する法律案」ならびに「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案」に反対する意見書を、地方自治法第九十九条の規定により提出すること。                                     以上   -------------------------------- ○副議長(辻本黎士) 二十三番粒谷友示議員。 ◆二十三番(粒谷友示) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(辻本黎士) お諮りします。 二十三番粒谷友示議員のただいまの動議のとおり決することにご異議ありませんか。       (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、次回三月七日の日程は当局に対する代表質問及び一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後五時二分散会...